さ め
2014 |
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03/01 |
いとなみもくるわせるほど
あらなみもわれるほど ふゆのかぜがびゅうびゅうと みんなのいえをたたいている さめ |
僕がと試しに言ってみてよ君
そしたら僕にもわかるかも 僕には僕がわからない 君の目を見て探るほど さめ |
うすむらさきいろの
よそいきのふろしきは きのうこうえんで ヒーローが着たマント さめ |
2012 |
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04/01 |
流れる水に
流れた街の 溶けゆく東に 浮かぶ朝日は さめ |
興さないで 昔の話は 怒らないで 今の私を 起こさないで 明日の朝は 一人でできるはずだから さめ |
知った張った切った
疑いもしようが 俺はいちいちに 嘘をつかぬなどと言わぬ さめ |
03/01 |
世間が僕を見ている
世間がそう言っている 世間に映る僕の影が 世間はそうだと囁く 人と触れ合う外界の 外にしかない世間 窓を開けた僕の後ろにつながって 世間がまだ笑ってる さめ |
食べるときの涙を 誰も笑いはすまい 悔しくて 悲しくて 何ものどを通らないのだ つらい、ちくしょう、本当に さめ |
僕だけの君の横顔 僕だけの君の後姿 振り向いた君のまなざしが 粉々にしてしまった 甘い夢の此岸 暗い谷の向こう 現実の土地の上で 君が待つのを知った さめ |
02/01 |
ふと現れる 寂しさに
むなしさを 抱えたままで
記憶の中を探ってみても
「あなた」など見つかりはしない
さめ |
ひとりでいるということの
簡便さ
ねえ、
どうして僕を取り囲むのだ
さめ |
今はこのまま過ぎ去ってゆく
明日をここから見送っている
僕が見ている明日の僕は
今日から明日を見ている僕だ
さめ |