cap verses / そよ日暮らし * 

サイシンのシリトリ  これまでのシリトリ  投稿者さん別のシリトリ  はじめての方へ

       
ナツ



2024

10/01
それでいい
野の花のまま
ただ風とゆく雲のまま
特に秋には

ナツ

未知の世界へ 
行く切符
誰もが握りしめて
生まれて来た

ナツ
パワー浴びてる
幼子たちのまっさらな
泣き声から
笑い声から

ナツ
09/01
わたしのために
ではなくて
いつ覚えたのだろうか
だれかのために

ナツ

転がっていく
夏の記憶
サルスベリの花と
熱風に散る

ナツ

ほんとにいいな
夕方に吹いた風に
冷たい大地の便りが
僅かに混ざっていること

ナツ

08/01
ちょっと贅沢
今日は特別
好きなアイスを選んでよし
目を輝かせる子供たち

ナツ

ジリジリと
焼かれて並ぶひまわりと
息を合わせて
線路沿い行く

ナツ

この毎日が一番大事
父や母に教えられ
守りて暮らす
ゆうげの香り

ナツ

07/01
眩しく光る新緑が
風にきらめくその影を
まとい立つ若き君
古いアルバムの中で

ナツ
ドリンクフリーの
ファミレスで
子ども達のお帰り時間
ギリギリまで喋り続けた

ナツ
地道な作業に
想いをこめて
1秒1秒を刺してゆく
針先で時をいろどる

ナツ

06/01
コーディネイトに迷うのは
もうやめた
もう迷わない
みどりの風に背中を押され

ナツ
恒例行事さあさあ
5月になれば
伸びた枝切りツルを整え
紫陽花の蕾を数える

ナツ
散歩道
春から初夏へと花ひらく
いつものあの道この道を
たどる楽しさ

ナツ

05/01
紅に街角を燃やす
レッドロビンの新芽たち
散歩しましょう今年もこの
なつかしい風に吹かれ

ナツ


ほっぺがゆるむ
美味しいものお腹いっぱい
子供たちの笑顔よ
いつまでもと願う

ナツ
大好きな場所
それはママの腕の中
ちいさな姫とおうじさまきっと
みんなそうだったんだね

ナツ
04/01
粉雪降れば
会いたくて
凍える指で公衆電話の
ダイヤル回す

ナツ
ミッション遂行中
ひとりぽつぽつ道を行く
決めたんだから
四拍子の歌うたいつつ

ナツ
お布団の中
手足を伸ばす
ありがとう今日いちにちの
みえない何かにありがとう

ナツ

03/01
とろみもつけたよ
さあどうぞ
ゆっくりひとさじ
飲み込んで

ナツ
季節のゲーム
スタート画面は芽吹く春
美しい枯葉散り雪つもり
またふたたび芽吹きめぐる

ナツ
記憶はらはら
枯葉といっしょ
柔らかな
土のお布団のなか

ナツ
 
… 「お布団のなか」 だよ! 
02/01
ぜんざいすする
まあるい甘さありがとう
大満足です湯気の中の
おまめさんたちへ

ナツ
ホームはどこでも
生きていけるけど
住み慣れた街角へ
心は飛んで行く

ナツ
最強と言われて
つわものと呼ばれて
いろいろ背負った背中をただ
見つめるしかできないけど

ナツ

2024
01/01
場所ならあるよ
ここへおいでよ
みんな少しずつ
譲り合おうよ

ナツ
始発電車は
5時15分
父と母と山へ行く
早朝のホーム

ナツ


      「ホーム」 だよ 「ホーム」
負けないように
しなくていいから
泣いてもいいし
のんびりいこうよ

ナツ










2023

12/01
宝もの握りしめて
生まれてきた
それはきっと
ひとのえにし

ナツ
ようやくここまで
来たねじぶん
あとどのくらい
歩こうかなあ

ナツ
今バスに
乗りました
いつもあの角を曲がる
憧れてたバスに

ナツ

11/01
すごいね
赤子の泣くちから
いのち吹き出す
お腹の底から

ナツ

秋の空透きとおり
キンモクセイ香れば
記憶のノートは
はらはらめくれる

ナツ
なにも知らない
それでいいそのまま
朽ちてゆきたい
夢みるわたし

ナツ
10/01
切ないねサルスベリ
桃色が散ってコロコロと
名残の夏の
風に駆けてく

ナツ


コトバをえらぶ
時間をいまください
時計を止めてイチバン
優しい言葉を探すから

ナツ
声だけきかせて
確認させて
記憶の中の声はまだ
あなたの声のままですか

ナツ
09/01
食卓にそろう顔
日々の色々を
かかえながらも
ありがとう

ナツ
夏のならわし
八月に入れば子供らは
入道雲を窓から見てる
秋の気配には知らん顔

ナツ
17歳は部活の日々で
学校までの道のりは
入道雲に向かって歩く
自分の影と蝉の声だけ

ナツ
 

 「声だけ」 だよ 「声だけ」
08/01
ズッキーニって
ふしぎなきゅうり
どこから来たの
いつのまにやら食卓に

ナツ
 … 「食卓に」 だよ 「食卓に」
ならんでる
だあれもいない校庭で
向日葵たちは
風に吹かれて

ナツ

生きたいと
ギラリ射貫く目
ケージの奥に
さくら耳の君が居る

ナツ
07/01
トマト地球のまん中の
たわわに畑のまん中に
トマト今夜のテーブルの
レタスサラダのまん中に

ナツ

クレヨンはわくわくするね
フタを開けると
さあさあ!どれにするのと
ニコニコならんでる

ナツ
「ならんでる」 だよ 「ならんでる」
品物はもう売り切れです
残念そうな顔を見て
後ろに隠したアメひとつ
あなたにあげる好きだから

ナツ
06/01
洗われているこころ
五月の朝のひかりに
シジュウカラとひばりの
高らかな声に

ナツ
チューリップに聞いてみたい
どの季節がすきですか
寒い冬のころ土の中で
うとうとする季節かも

ナツ
ところで。と
あなたが言い出すと
とてもとても私の中で
ウっと緊張が走るのです

ナツ
05/01
屋上から手を振る
私はあなたを忘れることはなく
相も変わらずありがとうと
ごめんねを風に放つよ

ナツ
趣を残す庭は荒れても
石灯籠の陰で
つつじが燃えている
あるじ亡くても

ナツ
水色のスカートひるがえし
みどりの風を味方につけて
さっそうと行け行け
五月の少女たち

ナツ
  
  
04/01
上着は大事
中に何を着ていても
誰にもバレない
たくさん着込むカクレミノ

ナツ
眺めることができる
響くトリの声もシアワセ
桜の下を素通りした
あの春のぶんもとりもどす

ナツ

はなうたいつのまに
あなたといっしょ
背中合わせ知らぬ顔でも
でんせんする

ナツ
03/01
美人さんだねと
声をかけても知らん顔
さくら耳の猫
ツンと気高く塀の上

ナツ
 … 「上」 だよ 「上」
何回も言うとしつこいけど
でも嬉しくって
ほころんでいたんだよ
川沿いの早咲き桜が

ナツ
あらゆる命に感謝ですと
真白き老猫見送った
友から届いた泉のように
深くせつない愛の言葉

ナツ
02/01
夢のおおきさ
いろいろを
叶えたい順に並べて
ストーブの前ながめてる

ナツ
あの冬どの冬思い出だす
シーンは凍える冬景色
いつでも空は灰色で
木枯らし渡る長い道

ナツ

あたらしい年
昨日と同じ青空なのに
冷風わたり
こころの中心引き締まる

ナツ
01/01
広がる柔らかな
安堵の空気感じる
バスの中の譲り合い
同じ場所に居合わせた縁

ナツ
静かな夜更けに
空気震わせ遠くひびく
私鉄電車カタコトン
明日は雨かな

ナツ

待っていましたよと
かえりみちふと
高いところにお月さま
微笑んでいる

ナツ











2022

12/01
ドームにて
皆の視線が
祈りとなって
熱く弾ける

ナツ

影と一緒に公園を行く
ベンチで鳩を眺めてる
独りじゃないよと
少し強がり

ナツ
百点満点の青空だ
ハイカーたちは足軽く
赤や黄色の落ち葉踏む
神様からの贈り物

ナツ
11/01
15分前そこにいた
おつきさまどこいった
いつの間にやら
空のてっぺん

ナツ

とても無理
そう言いながら
目が離せない
青虫とかありんことか

ナツ
まるめてみる
今年もとりあえず。
整理ダンスの秋物に
宿る思い出たちを

ナツ
10/01
待つことでいっぱいの
コップやおなべ
いっそひと息に
ひっくり返して

ナツ
きっとびっくりしてるだろうね
なんで今頃、手紙って。
ごめんね秋風吹いたから
話したくて、もう一度

ナツ
詩のようなもの
ポッケにたまるね
迷子のコトバ手の中で
クシャッとまるめて

ナツ

「まるめて」 だよ 「まるめて」
09/01
来ないかな
残ったご飯粒
お庭にまいて
すずめ待つ

ナツ
 

「待つ」 だよ 「待つ」
とある夏の日
少しだけ開いた雨戸から
白い入道雲の動くのを
見ていた

ナツ
水辺の人びと
ながめて歩く
旅の夕暮れ
しずかなリズム

ナツ
08/01
道ばたに草花
揺らしわたる風
寄り添うように
黄色いちょうちょ

ナツ

報告してくれる
ひとみキラキラあのね
きょうねがっこうでね
宝石のようだね

ナツ
探しているずっと
生きてゆく意味、でも
生きている
それだけでいいのかなって

ナツ
07/01
走り出したい
解き放たれ声を上げ
思うがままの園庭の
幼子のように

ナツ
うれしいな
最近のわたしは
うれしいと
涙が出てくるお年ごろ

ナツ
私はずうっと
私だったのだけど
私だったと言えたあの時代を
いま探している

ナツ
 
 …… 「探している」 だよ
06/01
終わるまであと
どれくらいかかるのですか
どうか早く平穏をと
心から祈ります

ナツ
センスがいいな
今日の服も
天気予報のお姉さんたち
あの人この人おしゃれさん

ナツ

知らない通りをなぜか
今日は歩いてみたの
ひっそりしたほそ道の
風はさやさや知らん顔

ナツ
05/01
磨けココロを。
誰も知らない
自分の中だけの
チイサナ世界が終わるまで

ナツ 
 「終わるまで」 だよ
持っているものを
少しの勇気と荒っぽさで
笑いながら手放せば(願望)
いつの間にやらすっぴん姿

ナツ
桜木ゴツゴツ年を取り
私もだんだん年を取り
数え切れない花びらと
共に散るなり春の宵

ナツ
04/01
2022年の初めに五つほど
出来たらいいなの目標と
いつかいつかの夢とかを
小さなメモにしたためる

ナツ 

強くなりたい
歯医者さんなんて
なんのその
涼しい顔して通いたい

ナツ

はるのゆめさんさんと
おひさま照って
ぷうんとハチの音がして
黄色に染まる菜の花の中

ナツ

03/01
ときめきも目覚める
ツンと冷たく春のニオイ
わたしもまた季節を
ひとめぐり出来たんだね

ナツ
 
結局自分が答えなの
もじもじ困ったふりしたり
相談もしたりするけれど
結局自分で決めてるの

ナツ
靴がはしゃぐよ
みどりの野原に
てんでにひびく子らの声
それははるのゆめ

ナツ
   …  「はるのゆめ」 だよ
02/01
きっとそうこれは
北からの伝言
雪解けのにおいと
風に混じる淡いときめき

ナツ
   「ときめき」 だよ 「ときめき」
開けよ春のトビラよ
寒風に向かって歩け
頬を赤くして
駅からの帰り道

ナツ
デビューしたいこと
この春の通信講座の
チラシをながめて
あれこれと想像遊び

ナツ

01/01
忘れましょうそう思うけど
悪戯な記憶たちまるで
木漏れ陽の合間に飛ぶ
鳥たちのよう

ナツ


美味しいものあちらでは
お腹いっぱい好きなもの
たくさん食べて幸せね
祈っています

ナツ
呼吸が優しい
小雨の朝は
空気がたくさんの水を
含んでいるから

ナツ









2021

12/01
こころどこにあるの
掌のぬくもりにもあるような
キュゥとしめつける胸にも
帰り道の空や風のニオイにも

ナツ
粒よりの豆なんだね
ありがとございますでも
かなりうすめてしまって勘弁
牛乳コーヒーでも香り美味

ナツ
 … 「美味」 だよ 「美味」
暗号を書いた紙をいつか
捨ててしまったのかもしれない
何度ためしてもたどれない
思い出の道のあれこれ

ナツ

11/01
戦々恐々年末年始がやってくる
手洗いうがいはしっかりと
あとはうーんもういいや
お茶を手に夕やけ雲をながめたり

ナツ
繰り返すカレンダー
またもの思いの秋が来たけど
きっと涼やかなこの風が
ココロを掃除してくれる

ナツ
ふたりきりだねいつのまに
お皿もおかずも少しずつ
小さくなってだんだんに
店じまいだね気楽に行こうよ

ナツ

10/01
1人は気ままでいいけれど
だんだんさみしい洗面所
顔を拭いたり歯を磨いたり
そのたび口角あげてみる 

ナツ
駅は日々の出入り口
いつでも手を広げ
おかえりなさい
行ってらっしゃい繰り返す

ナツ
  … 「繰り返す」 だよ
みんな集まるその人の
笑顔はキラキラ輝いて
私は遠くの机から
教室の中の果てしない距離

ナツ
09/01
かくれんぼ
みんなどこだろ
ひとりぼっちになったかも
そおっと顔を出してみる

ナツ
動いてるんだよ
入道雲をじいっと見ると
時計の針をじいっと見ると
そんな風になつやすみがゆく

ナツ
向日葵の
大きなお顔がうつむいて
おさなごたちを今年の夏も
見守っている

ナツ

08/01
部屋は私鉄のアパートで
カンカン階段鳴りました
一人の部屋の青い春
つばさを休めてみたかった

ナツ

線香花火見つめてる
小さな瞳の小さな宇宙
遠い夏のかすかな記憶に
なりますように

ナツ
なかよしで好きな人
一緒にいると頼もしい人
でも寄りかかりすぎたらダメネ
こころのディスタンス保とう

ナツ
07/01
ひつようなものが
大好きで心地よいもの
ばかりだったら
よいのにな なんて

ナツ
夏の風景むこうの道の
入道雲を追いかける
だあれもいない校庭に
タチアオイ達が並んでる

ナツ

ららら歌えば
いつのまにか楽しくて
声を合わせ皆で過ごすよ
それぞれの時間を持ち寄って

ナツ
06/01
じぶんをぎゅっと抱きしめる
しとしと雨の日
物干しにつるし風いっぱい
はたはた晴れた朝

ナツ

まなびはずうっと
長い道のり
あらっと失敗するたび思う
少しずつだけど続いてく

ナツ
手の温かさでにぎるから
おむすびは美味しいんだねと
もぐもぐしながら帰郷した
子供に言われて照れました

ナツ
05/01
するする伸びるつるさきに
ちいさくこめた
みどりのちから
半日ごとにすがたをかえる

ナツ

もどかしいよね
手も口も
出さないがまんが
わたしのまなび

ナツ  
… 「まなび」 だよ 「まなび」
見届けようとたちどまる
土をけむらせ春がゆき
けやきの若葉が
揺れて初夏を呼んでいる

ナツ
04/01
似てきたね
そこが似たかとため息ひとつ
まあ仕方ない顔見合わせて
笑ってしまおう

ナツ
誕生日だね今日は貴方の新しい
一歩踏み出す別れの日
背中はもう振り向かない
楽しくね慎重にね

ナツ
うごきだしてる分かってはいた
止める術など無くてもがいた
あたまのどこかであきらめている
お腹のどこかでおうえんしている

ナツ
 

03/01
どっちもどっちで歩んできたね
長い道のりあなたとわたし
ごめんねのタイミングも
いつの間にか似てきたね

ナツ
 … 「似てきたね」 だよ

買ったよやったね
「限定」の二文字に
ついついこころが動く
いくつになっても

ナツ
とけていくあわい記憶と
ちらちら小雪
灰色の空は遠いあの日々に
いまだ通じている

ナツ
02/01
ごきげんに歌う小鳥たち
チィチィツィーとうれしいな
ありがとう何があっても
何度でもめぐる春

ナツ
堂々としているひとから
少し離れてうんうんうなづく
心でたくさんの拍手を送る
そんなわたし です

ナツ
遠かったはずの通学路
送り迎えの体育館にグラウンド
あの時は何が私の
ねじをきりりと巻いていたのか

ナツ
01/01
料理する後ろ姿をどうしても
黙ってみていられない
ついついあれこれ口出して
それで嫌われちゃうんだよなぁ

ナツ
これからどうなるの
不安だけれど願いましょう
きっと晴ればれ笑う日を
忘れず感謝を心に灯して

ナツ
ラーメンの屋台
ぼんやりにじむ
沈丁花香るあの春の宵
寒くて遠かった

ナツ
 … 「遠かった」 だよ 「遠かった」












2020

12/01
ぶりのあら煮などは
まだまだ苦手
そうこうするうち時流れ
白髪かきあげ料理する

ナツ
 … 「料理する」 だよ
夢かな夢だったか
まどろみのなか
あわてて夢を反芻してみる
皆と腕組み空を飛ぶ夢

ナツ

しめつけたこころとからだ
お湯にたっぷり横たわる
いちにちをふりかえり
ほぐれてゆく至福

ナツ
  
11/01
季節が過ぎる
金木犀の香る風
記憶のページがてんでにめくれ
思い出たちが舞い遊ぶ

ナツ
   … 「ぶ」 だよ 「ぶ」

涙ぐんだり大きな声で笑ったり
周りの空気が読めなくて
日暮れの頃に黙りこみ
ひとりあれこれ反省会

ナツ
あることありがたく
ないこと 追わず 穏やかに
静かな佇まいでいたい
念じるばかりでかなわないけど

ナツ
10/01
上書き機能が使えたならば
来た道をいくつまで
さかのぼりどんな感じに
生きなおそうか、なんて

ナツ
ベンチは好きなんだけど
ベンチの下を何かが通る
気がしてふくらはぎも
落ち着かないのです

ナツ

立っているひとりきり
どこから来たの
灰色の霧雨ふる小川に
りんと真っ白な鷺

ナツ
09/01
ピースというバラ
黄と桃の大きく古いバラ
昭和の戦後にかがやいて
いまも静かに公園に咲く

ナツ
充電してなかった
急に不安がうずまくよ
携帯電話がなかった時代に
もう戻れない

ナツ
今日のお手柄
一日なんとか終えたこと
そうよねぇとお風呂場の
鏡に映るのはわたし

ナツ

08/01
電車の音が眠るとき
カタタンタンと聞こえれば
夜半にはきっと
西からしとしと雨になる

ナツ
 

歩き続ける
同じメロディ何度も
くちびるにのせ
励まされながら

ナツ
白じゃなくても
いいんだよそれなのに
青空に浮く
真っ白な雲見上げてる

ナツ

07/01
ゆらゆらただよう
夢の中から目が覚めた
余韻をたどる
消えゆくまえに

ナツ
風に向かって思うまま
ぐんぐん歩けた日々があり
いまはここから
季節を見てる

ナツ


見つけたネコの目
息をひそめて草むらの中
見守りたい近付きたい
気持ちウズウズ

ナツ

06/01
ずっとみているお空から
微笑んでいる
雲の遠くにあの人は
いると私が思うなら

ナツ


日常はさらさらと
流れて消えてしまうけど
それでもいいのと
ひたすらあるく

ナツ

座ったほほに
五月の風がさらさらと
日本は止まっているけれど
晩春が過ぎ青葉繁れる

ナツ

05/01
月は窓辺に微笑んで
右から左へ
ゆっくりと私の中を
覗き込みつつ

ナツ

好きな歌ですコバルトアワー
聞いて歌って踊っちゃえ
(誰もいない台所でね)
ストレス発散だ〜

ナツ
使わなくなった
小さな古びた椅子
父が作って
母が座った

ナツ
  「座った」 だよ 「座った」



04/01
とけそうなアイスクリーム
時の止まった昼下がり
窓際の席でぼんやりと
行き交う人眺めてる

ナツ

S君のイニシャルを
日記帳になんども書いた
制服の後ろ姿を追いかけた
中二の春から秋の日々

ナツ
話しかけてる幼いころから
私の心の中のあなたに
あなたは誰なんだろうね
いつもありがとう

ナツ
03/01
限界までこのまま
座っているべきか
ジンジンきたきた
正座はツライ

ナツ
おでんに欠かせないのは
牛スジなんだって
故郷の話もっと聞かせて
更けゆく夜に

ナツ

耳にそっとね
鼻ちかづける
柴犬の三角の立ち耳は
お日さまのニオイがするよ

ナツ

02/01
役目はまだあるのかしら
年齢重ねてもなお
この頃はお城を訪ね歩くのが夢に
変わるものですね

ナツ
ベリーベリーストロベリー
学校帰りのアイスクリーム
風の商店街にさざめく
早春の素足の小鳥たち

ナツ
聞くことのほうが
話すことより大切な時がある
気付いたよ
遅すぎたと言わないで

ナツ
01/01
悔やんだことも
としを重ねて
淡くぼんやり忘れゆけ
できれば安堵の方向へ

ナツ

カモンベイビー家族に乾杯
頑張ったねISSAさん
鶴瓶さんとさださんの
暖かい曲に見守られ

ナツ

また遊ぼうね
最近のことは忘れても
過ぎた風景流れた空気
昔ばかりを思い出す

ナツ







2019

12/01
お昼寝のほっぺ
日差しがカーテン揺らす
ぷくぷくぬくもりと
たいせつな記憶

ナツ
にらめっこしましょう
鏡のワタシとあっぷっぷ
口角上げて笑ってみよう
明るい心持ちカモン!

ナツ
   「カモン」 だよ 「カモン」
ころがってきた(どんぐり?)
ここからまたいこう
風に吹かれてころころ
行けるところまで

ナツ

11/01
眠れぬ夜の羊さん
えんえん
数え飽きたころ
秋虫たちも眠りこけ

ナツ
だけど、だけど…
その先まるごと
飲み込めないよ
ため息ばかり

ナツ

ゆらめく明かりを灯籠に
灯し迷いの森をゆく
このままゆらゆら
迷ったままでもいい

ナツ
10/01
ふたつの黒い飴のような
まんまるお目目はじっと
何を言いたいの
私もじっと見つめかえします

ナツ
いかがですかと階下から
訪看さんの声がする
あたたかいものが
家中に広がってゆく

ナツ
ガラス細工の時計のある
ピアノの先生あこがれて
でもお嫁に行ってしまったの
ほんの短い日々でした

ナツ
09/01
サァァァと風がゆく
木々の葉たちは
列を成して天へ舞い
エンドロールはうす水色に

ナツ
OPENあなたへ
いつでもどうぞ
荷物降ろしてくださいな
それからコーヒーでもいかが

ナツ
   … 「いかが」  だよ  「いかが」

朝また夕また朝
寄せてはかえす日々
朝焼け夕焼け忘れたよ
遠いいつかの空だったよね

ナツ

08/01
いくつかの
夢の断片かき集め
記憶たどる朝
消え行く前に

ナツ

笑っていたよと
朝の会話
確かになんだか
楽しかった夢をみた

ナツ
ここには何度も
来たことがある
夢の中のなぜか
懐かしいその場所

ナツ

07/01
Ending茜の時
冷たく乾いた風に
塵がふわり
舞い上がり消える

ナツ
ふわふわしている
時間が増えた
風に泳ぐ風船みたい
まだまだしっかりしないとね

ナツ

幸せは自分の頭の中に
あるらしい
きっともっと (できるだけ)
前向きにマイペースで

ナツ
06/10
地球はどうして
わたしとは何
大小さまざま疑問が積もり
この世は作られているのかな

ナツ

雲は国だと思っていました
ちいさいころ
空に浮かぶひとつひとつに
生活している人たちがいるって

ナツ

葉の陰にもう来ている
梅雨の子ども達の気配
紫陽花に塗る絵の具の
湿ったニオイ

ナツ
05/01
カウントダウンの音が
聞こえているのに
聞こえないふりしてる
ごめんね地球

ナツ 
… 「地球」 だよ 「地球」
どこまでもツルや根っこを
伸ばしては
広がりたくましく生きる
ひとも草原も

ナツ

だめだだめだ
こういうときは優しい音楽と
もふもふの生き物を
ぎゅっとしてあとはミルクコーヒーを

ナツ

04/01
つないでねパパママ
横断歩道赤のとき
幼な子の手はぎゅっとしてね
通りがかりのおばさんより

ナツ
指は無邪気に
道を描き猫も町も
線路も続くよ公園の
ひろばにひろがるどこまでも

ナツ
 … 「どこまでも」 だよ 「どこまでも」
隠し持ってるそれぞれの
芽は暖かな春の
光に誘われてとりどりの
花咲きますように

ナツ
03/01
難しいけどやってみようか
くつした編み物
努力は決して
無駄にはならぬとききました…

ナツ
海鳥かるがる風にのる
頬も凍る一月の港
会いに来たよ
30年ぶり青春の日に

ナツ
バラの膨らむ芽を見つけ
北風に
春のにおいが感じられ
胸いっぱいに吸い込んだ

ナツ
 
02/01
いつもの私で
目覚めることができました
まぶしい朝日に
今日もありがとう

ナツ


用意するのも
じっくり念入り
明日は始発電車なのに
海釣り前夜の父でした

ナツ
地図を渡せず悩む親
おかまいなしに
子は地図をいつの間に
見つけて歩いていった

ナツ
 
01/01
常に頭は回転中
たまには頭のネジを止めて
イチゴほおばって
福福しようよ

ナツ

煮豆の番する
母のことを
少し離れて番をしながら
おせちの用意する

ナツ
 
… 「用意する」 だよ 「用意する」
夢としていくつも
抱え込んでいた
一度みんな捨てちゃえ〜
今日は空が青い

ナツ






2018

12/01
明かりに導かれ
眠りの川をゆく
お月さまの示す道を
うとうと小舟で

ナツ
ゆくえ追う
雲のまにまにキラキラと
小さな飛行機
私の想いも連れてって

ナツ
島いっぱい
オレンジ色のカンゾウと
みずいろの空いつか
いつかの夢として

ナツ
  … 「夢として」 だよ 「夢として」
11/01
シミみたいな
深いところのあれやこれ
ココアで溶いて
すする夕暮れ

ナツ
つながりを
編んでほどいてまた編んで
ありがとう
ほそぼそと続く温かな糸

ナツ
砂浜に白いスカート
逆光のシルエット
みんなではしゃいだ
卒業旅行

ナツ
10/01
Тシャツでいつも通り
出かけて知る秋の訪れ
二の腕スースー
足首冷や冷やの散歩道

ナツ
分が長く感じるときは
なにかしらうまくない
秒針の同じひと回りが
なかなか終わらない

ナツ
つかんで歩く前を行く
ひとのシャツの袖
昔は照れで可愛く
今は転ばないためすがる

ナツ

08/01
あの日を過ぎても
カーブの先で待っている
あの日の予備軍
明日も明後日も

ナツ

もっともっとと
言いすぎて求めすぎて
あどけなく眠るわが子を
抱きしめた夜

ナツ

めいっぱい
楽しく歌った帰り道
口からまだ
小さな音符がポワンポワン

ナツ

07/01
庭は待ってるながいこと
庭の主の帰るのを
虫たちは石の下に
草や木は繰返し咲いてみせ

ナツ

よろこびでぐるんぐるうん
しっぽが回っちゃう
だいすき!ジャンプ!
わたしも大好きよ

ナツ

枠組みきちっと考えるひと
印象のままふらっと
行動してるひと
たて糸よこ糸いい塩梅

ナツ


06/01
とぼとぼと歩くよ
梅雨がもうすぐやってくる
ひと足ひと足
自分をはげましながら行く

ナツ

余白にちいさく
書かれたハート
飛んでけひろがれ
沈黙を吹き飛ばせ

ナツ

音 月明り
ふたつは溶ける
わたしをつつむ
深夜の電車カタタン タン

ナツ

05/01
随分歩いたんだけど
まだまだ続くこの道を
春雨に背中を撫でられ
とぼとぼと

ナツ
… 「とぼとぼと」 だよ 「とぼとぼと」 
重ねてくれた掌が
うれしいけれど恥ずかしく
くすぐったくて
そっと離すよ

ナツ


おこっているのね
そりゃあそうだ
あれこれ言葉を探すより
すぐに言うよゴメンナサイと

ナツ

04/01
場違いだよね人混み
華やかな春の街
いいよいいよ大丈夫
花曇りの空に励まされて

ナツ

暮らしてゆきます
あせらずに今日を
このいっときを繰り返し
重ね重ねて

ナツ
  
 ・・・ 「重ねて」 だよ 「重ねて」

波立つあわい黄緑の町
ざわつく樹々や枝の小鳥
生命の春はじける時を
虫たちだって知っている

ナツ

01/01
あなたが一緒に
歩いてくれた曇り空
あの日に似ている今日の道
あなたの記憶とひとりゆく

ナツ
言葉にすればお荷物を
相手に渡してしまうから
黙っているのねいつもあなたは
古い大きな樹のように

ナツ
そこまで、ですもう
傷つけあうのはやめましょう
勇気ある炎の言葉
氷の心を溶かしてくれた

ナツ







2017

12/01
そうなのね
話してくれて嬉しいよ
私でよければ一緒に悩もう
だいすきだからあなたが

ナツ  
… 「あなたが」
ぜったいに
といえるきもち
わたしは持てなくて
だからへらへらしているの

ナツ

わなかどうか
あとになってから考える
反省してもまた
あとになってから気付く

ナツ

10/01
響きだす子らの声
今朝も登校の時間だね
泣く子が一人もいませんよう
どうぞどうか楽しくね

ナツ

お待ちください王子様は
手をつかんで離さず
そして階段で裸足で笑う
12時過ぎのお二人

ナツ

お姫さまみたいな
淡いドレスで踊ります
どうぞいつまでも幸せに
世界中の花嫁さん

ナツ

09/01
声を出そう!
互いに耳をかたむけて
こころ込めれば
きっとすてきに響きだす

ナツ
 … 「響きだす」 だよ 「響きだす」

ここからだから
君は笑顔で言うんだよ
じわりじわりと涙があふれ
うんうんうんとうなづくだけ

ナツ

満ちてゆく夜
眠りの粉は降り積もり
舟はようやく
夢へと漕ぎだす

ナツ

08/01
まぼろしの夏の子ら
木立の陰にひとりふたり
平和を祈ってくれている
見守られてる気がするのです

ナツ
WELCOMEありがとう
嬉しいよ歩く道
ご一緒しましょね
百日紅散るあの角まで

ナツ
酒を飲むなら穏やかに
酒の威を借る攻撃や
違う自分を召喚する
なんてのはダメよ〜

ナツ
07/01
光をありがとう
これからもずっと
あなたはそこを照らしています
ひまわりの花のように

ナツ


公のなかの
一人一人のわたくしたち
どうか穏やかでありますよう
水が浸透するように

ナツ
抹茶はわたしに
苦くて厳しい
忘れてはならないよと
戒めるのです

ナツ
06/01
緑を塗ろう
生まれ変わり絵が描けたなら
父の自己流日本絵具や
北欧の森の刺繍の色で

ナツ
底に座って見上げると
四角い窓を鳥が横切り
無音でゆく白い飛行機
あとは青空とわたし

ナツ
これからのこと考える
風に吹かれて日めくりめくる
願わくば
ひっそり優しくたんたんと

ナツ


05/01
ひとつだけ願い
かなうなら何度でも
つかえる魔法の杖くださいな
なんてずるいわたしでしょう

ナツ
今年もきっと忘れてしまう
そんなわたしを
空の上であきれていてね
わがまま娘のまんまです

ナツ

おとなになったと
しみじみ言われてしらんぷり
いつかのわたしにそっくりな
むすめのよこがお

ナツ

04/01
代わりゆくもの
見送ろう
代わらないもの抱きしめる
今年も菜の花いい匂い

ナツ
梅の実いくつなるだろね
おばあちゃんとの立ち話
今年は話題にのぼらない
梅干しつくりは卒業かなあ

ナツ
おおきくふう深呼吸
三月の白い息
混んだ病院の帰り道は
雨も優しく感じます

ナツ

03/01
お小遣い
ないしょであげてる
知らぬふり
父は娘に甘いもの

ナツ
色えんぴつ並べて
流行りの大人の塗り絵の
世界へ
さあ今日も潜り込む

ナツ

Y君のこと
たくさん日記に書きました
夕陽と学ランの背中を
いつも眺めていました

ナツ

02/01
使われない母のものひとつ
ふたつと少しずつ
さよならをするゆっくりと
時ちぎるように何年もかけて

ナツ
合わせ鏡の向こう側
曲がる限り頭をまげて
覗き込んだ少女のころ
うす緑の水を湛えているようで

ナツ
PEANUTS BOOK
チャーリーライナス
谷川さんの言葉何度も
擦り切れるほど吸い込んだ
卵色の日々がありました

ナツ

01/01
ここにいる
いさせてもらう
ありがとう
微かなひかり灯します

ナツ

しみこむ熱さに
ほどけてゆくの
今日のいろんなこと
目を閉じ湯船にとけてゆく

ナツ
詩に想いをぎゅっとして
風船に詰めて
空か遠い海の波間へか
届かなくてもいいの

ナツ






2016

12/01
繋がりに触れると
輪郭が浮かぶ
自分はいままだ
ここにいるんだなと

ナツ
大もりザクザクいくね
お見事です
感嘆しつつあなたの身体
チョット心配

ナツ
月明り
駐車場の空たかく
しいんとあなたの
眼差し感じて帰り道

ナツ
11/01
ことのはを
バルーンに詰めて
午後四時に飛ばすねと
約束はしていないけれど

ナツ
まわりとうまく
やれるだろうか
心配をかきけす笑顔だ
おかえりなさい

ナツ

つつしみという
言葉は人のものだけど
初冬の朝に白ばらひとつ
痩せて咲いている

ナツ
10/01
漫画ほどけて
線やコトバが
頭の中で自由に泳ぎ
ひろがってゆく

ナツ
怖いほど
赤い夕空
赤鬼がこちらをみてる
せつないよ

ナツ
らしくないこと
したら後悔恥ずかしい
すぐひっこめて
知らん顔する

ナツ
08/01
拾い集める貝殻を
手のひらにのせ笑う
みつあみのわたし
海辺の家族写真

ナツ
 
 「写真」 だよ 「写真」
違ったときは
ああごめん
素早く言いたい
いまだ修行中

ナツ

時のひきだし
遠い記憶も
想えばここに
よみがえる

ナツ

07/01
ページから
しめやかなかおり
ながれていつか
ささやかな語り部となる

ナツ

記憶しているはずと
訳知り顔で
四季を渡ってきた風よ
だからせつなくなるのです

ナツ

木漏れ日あびて
ワンコと風にふかれて
つぶやくよ
いまをどうもありがとう

ナツ


06/01
星はここでは少ししか
みえないけれど
隠れたひかり探してる
携帯の天文台のページから

ナツ
 ・・・ 「ページから」 だよ 「ページから」
ほほえみをくれていたよね
知らん顔していたわたし
いまごろ胸にとぷとぷ重い
ゆたんぽみたいに

ナツ
戻っておいで
ベランダから風よ伝えて
しゃべりすぎた
ワタシのことばことばたちへ

ナツ


04/01
風がはこんだ
懐かしい人たちの声は
公園の花びらになりはらり
みんなでちゃんとうけとりました

ナツ


証はねほらこうやって
手と手握って
お互いのぬくもりを
感じていることが証だよ

ナツ
待っているよね
約束したものね
西の空の入り口まで
ちゃんと迎えに来ているよね

ナツ
03/01 いただきます
北向きのちいさな
台所に集う夢
懐かしい笑顔

ナツ
忘れないでね
あなたの心に
住まわせていて
いつまでも

ナツ
そんな感じでいいよ
自分に出来ることだけ
ちょこっとがんばろ
今日もマイペースでね

ナツ






2015


11/01
記憶のカケラたち
思い出すたび
キラリひかって
ここだよって

ナツ

ぬくみを
忘れないからね
そっと抱きしめる
老犬のからだ

ナツ
方向音痴を
武器にして

てへっとまるっと
可愛く笑う

ナツ
10/01
笑い声
部屋に響いた
驚いた
自分の声だ

ナツ
この花が咲くと
風にとけて届く
黄金色の
香りと母の声

ナツ
点と点に
なってゆく
線が細くほそり
点と点さえ遠くなる

ナツ


05/01
キャラ作ってみました
自分もまんざらでもないね
周りもみんな楽しくなれば
着脱可能な別空間

ナツ 
背中のっそり
スコップ持って
菜の花のむこう
土のニオイの父わらう

ナツ

ゆれているチューリップ
黄色いドレスで
もうサヨナラいたします
だいじょうぶ来年会おうね

ナツ
04/01
守りたい
そのいっしんで
子らを育てる
いつの世もきっと

ナツ 
雨降りの
土からわきたつ
春のいのち
目ざめるにおい

ナツ
ねこねむるゆめ
ねむのきのした
ねんねこあたたか
ねぇねのせなか

ナツ
 ・・・ 「せなか」 だよ 「せなか」
02/01
靴紐をきちんと結べと
出した手を払いのけ
その勢いで旅立った
不器用さ似ているんだよ

ナツ
戻るのを待ち暮らすこと
経験し
出て行くばかりだった私
ごめん今更すぎるけど

ナツ
待ってるよは言わないよ
しんとした静かな場所で
待つことは
私の勉強なのだから

ナツ
01/01
ひとときが
カップの上で湯気になり
窓にこもれび
しあわせふんわり

ナツ
出発していいかな
許可なんか
求めなくてもいいよ
いつでも離れて見ているよ

ナツ
味付け自己流
年を取るほどお互いに
頑固になったね
似た者同士

ナツ






2014

12/01
とけるものばかり
買ったのに立ち話
ハナシも荷物も太陽も
気になり じりじり

ナツ
ただひとつある
どんなに逃げても
逃げられないもの
私を映す心の鏡

ナツ

旅に出るさと
大きな背中で語る様な
銀幕の後姿に涙 涙
お疲れさま安らかに

ナツ
11/01
坂をのぼって
今日もミケが座っていたら
安心するよごめんね何も
してやれなくて

ナツ
くり返し洗って干して
着ては脱ぎまた洗うって
無意識に生きているけど
ありがたい

ナツ
ちからをいれずに
そおっとすれば
ほうら上手にゆくでしょう
教えてくれたねありがとう

ナツ

10/01
以心伝心
どうしてるかな
家事の合間に思う朝
携帯が鳴る

ナツ
情けの心
教えてくれた
月日が過ぎても
しみじみ心にしみている

ナツ
らららん小走り
カタコトお喋り
ランドセル
金木犀の香る道

ナツ

08/01
ゆれるけど
ちょっと飛ばすよ
なぜだかバイクで疾走
夢の中で駆け回る

ナツ
淡い不安はいつもある
けれど眠ろう起きよう
夏空にまなざしを高く
今日を明日を行こう

ナツ

「元気で何よりです
それがもう何よりです」と
合いの手は延々と続く
夏草ゆれる午後

ナツ
07/01
スイカの種を飛ばしたね
父の膝で
無邪気が怖いに勝っていた頃
焼き増し続ける 記憶

ナツ
お願いなら
とっさにいつも思いつく
家内安全世界平和
誰もみな無事に元気で

ナツ

変わらないよ
想う気持ちは変わらない
だんだん形は変わるけど
そっと沈殿してゆくけれど

ナツ
06/01
種は眠る
冷たい暗い土の中で
目覚めの知らせを
ひとり待つ

ナツ
ちょっとムリ
だけど手足を伸ばそうか
カエルがすーいと
水を切るように

ナツ

あなたのことを大切に
小箱にしまって
心にしまう
思いはずうっと変わらない

ナツ
05/01
わたしのために
プシュっといい音
新キャベツ茹でつつ
ひとり乾杯いい気分

ナツ

しなやかに漆黒のつばさ
緑の風にのるカラス
あんなに高いところ
君になりたいよおーい

ナツ
思い出そうか
つぶやくように
シュウカイドウはらはら
春の日のこと

ナツ
03/01
いとなみも日々の
顔や哀しみも
風に散るけれど
心でずっと覚えているから

ナツ
僕がそう決めたんだって
はじめてだね ひとりの決心
目にいっぱいの涙が
すがすがしいよ

ナツ
うすむらさきいろの
だいこんの花が咲いたよ
白い蝶ちょと長靴で
何度この土掘り返しただろう

ナツ

02/01
むしろそこだけ中心に
損得抜きで相談しよう
お願いします生き物代表
地球をリードするならば

ナツ

おめでとうって
目覚めた花の芽に
ハチが小鳥が
おめでとうって

ナツ
感じるよ夕暮れに
ほんのかすかな
なきたくなるよな
遠くのうすむらさきいろ

ナツ
01/01
もう少しだけ
ぬくぬくしたい
ならいっせーのせで
布団脱出の朝

ナツ
サインですか
すっと長靴に
寄添ってくるモン黄蝶は
あなたなのですか

ナツ

我慢頭痛反省
しかしまた頭痛
今度こそと反省
でもまたのど元過ぎれば

ナツ







2013
12/01
月あかりやってきた
くもりガラス暖かい光
眠りに落ちるまで
そこにいてね

ナツ
スープをよそう
お皿はいま二枚
時代と共に
増えたり減ったり

ナツ
手袋ろくぶてランドセル
信号待ちの
小雀はしゃいで
この町にも冬が来る

ナツ
11/01
連れてくる
オハヨウの言葉が
笑顔をそして
爽やかな気持ちを

ナツ
そのなかにいるの?
みせてよみせてよ
カエル?ミミズ?
取り囲まれて手が熱い

ナツ

ヌケガラは語るよ
秋風に吹かれて
楽しかった夏の日のこと
土の中で見た夢のこと

ナツ

10/01
庭で夜風と
三毛猫さん
ひとり悠々
虫の音コンサート

ナツ

わかったと思ってた
今ごろ気づくわかってなかった
アタマの整理はじめなきゃ
まだ遅くない遅くても

ナツ
それがあるから困難ですと
便利に言い訳していたの
それが無くなりひとりきり
ぽつり途方に暮れる日々

ナツ
09/01
ぽんっと桔梗の
蕾が開く
朝露が耳を澄ましてる
まだ明けぬ庭で

ナツ

一瞬、夢の世界で
目覚めたかと勘違い
ああいえいつもの
日常のほうでした

ナツ
聞こえてくるよ
今夜から
チチチチ
また秋がきた

ナツ
08/01
宝物がなにか
わからず迷い
生きてきた日々こそ宝物
今はただ感謝

ナツ
ありがとうありがとう
何度でも
西の空へと風にのせる
もう照れる必要も無くて

ナツ

そう☆キラリ
夜空いっぱい光るのは
昼間のうちに
天使がこぼしたこんぺいとう

ナツ
07/01
愛をありがとう
あなたのまなざしに
ずっと守られていたこと
今ごろ気付く

ナツ

どこだとしても
いつも感じています
あなたを思った時
愛を風にのせる

ナツ
ネコさんおひるね
おこしてごめんね
ナァって小さく
ごあいさつありがとう

ナツ
06/01
舞うように裾くるり
窓ぎわのレースは
初夏をはらみ
少女のように

ナツ
いのちのともしび
ある朝ふっと
カミサマが吹かせた
初夏の風にのっていった

ナツ
さびしくて
そっと外をうかがえば
夜風がしっとり
肌に馴染んで梅雨なんだ

ナツ

05/01
恋わずらい中
三面鏡の
奥でこちらを
見ている人は

ナツ
福はどっちだ
右か左か
流れるままか
あらがうか

ナツ

なんとなく今日は
この道曲がらない
散り始めた
桜の道はさびしくて

ナツ
04/01
ちっぽけな
ひとりひとりの
ココロの中には
ひろいひろい海


ナツ

本をめくると
文字たちは列になり
行になり
物語になる

ナツ

天使のわすれもの
小さな手袋
ぬげた靴下かたっぽ
誰が落としたの

ナツ
03/01
証がねむる
木々の指先
春には芽吹き
季節はつづく

ナツ
けついといいわけ
用意しておこう
朝は来てしまう
どちらにしても

ナツ
素敵です
ありがとう
ワタシもがんばろ
シャンとしよう

ナツ
02/01
繋がっていると
思えるからキーを打つ
青く高い空のどこか
伝書バト飛ばす

ナツ
ひとつやふたつ
後悔失敗誰にもあるよ
暖かなてのひら
救われたあの日

ナツ
宝石たからもの
白くなった
老犬のまあるい
ふたつの瞳

ナツ
01/01
100年に近い年輪を
古木にきざんだ
大叔父のその手に
神様が触れた10月

ナツ

のみこんだはずの
キモチプクプク
膨らんでいつか大声で
叫びたくなる

ナツ

雪に似たものは
掌の暖かさで
とけてそらに春を
呼びに行く

ナツ







2012

12/01
いくつになっても
24だの21だの
まだあの頃を
ふらふら浮遊中

ナツ
がんばるよって
がんばれないときの
おまじない
強くなりたい

ナツ
そばにいるよ
たまに黄色いちょうちょに
姿を変えて
見守っているよ

ナツ

11/01
好ましいものには
ココロキュン
しっぽパタパタパタ
いくつになっても

ナツ

やわらかい秋を
身体の中へ
淡い青がにじんで
みずみずしく潤う

ナツ
いっしょにねむる
月と老犬
いつか旅立つ日まで
そばにいるよ

ナツ
10/01
コスモスゆれて
秋セミが鳴く砂利道の
小さな事務所で
働く自分が好きだった

ナツ
ひとときが
しきりにたくさん
ふりつもり
ワタシができている

ナツ
るすばん雨ふり
畳の縁に
おはじきビー玉
あるだけみんな

ナツ

09/01
ひと粒で効くなんて
こんな小さなひと粒に
人間のスゴさとコワさが
詰まってる

ナツ

さそわれてイヤイヤ
でもいつの間にか
やりがい感じてた
ありがとう誘ってくれて

ナツ

この道のことや樹や風や
なぜかこんなにいとおしい
心さわぐ
眠る記憶探したい

ナツ

08/01
虹のアーチを
アゲハがくぐる
何か伝えに来たの
水撒きに呼ばれたの

ナツ

ぽとりまたぽとり
たまっては
こらえきれずに落ちる
なみだと雨

ナツ

すこしこわいね
夕暮れてひとり
うす紫の鳥居の下を
息を止めかけ抜ける

ナツ
07/01
筆でさぁっと
梅雨をなぎ払い
青空に白い雲を描く
風の神さま

ナツ
日々ひとつづつ
石を積む
積めることの
しあわせ

ナツ

笑いあう
わだかまりが
すうっと
とけてゆく

ナツ
06/01
見たことある風景でした
懐かしくて知らない人と
だまってバスに乗ってゆく
夢の中の遠足でした

ナツ
空の向こうへ
おーいおーい呼んでみる
茜の国の入り口で
懐かしい人待っている

ナツ

魔法使いになれたなら
まずはひざ突合せ
ここ最近と未来について
地球に話を聞いてみたい

ナツ

05/01
難しいこと考えない
イノチの灯りが
ともる限りは
野の花のようにそっと

ナツ
「何色にしよう」って
唱えたとたん
ムネに色彩があふれだす
ああ言葉の魔法

ナツ
光る水玉が
若葉の上でコロン
ざわつく五月のココロを
風が撫でてくれる

ナツ
04/01
流れる時に抗わず
時間軸に寄り添って
うなずきながら微笑んで
暮らしていきたい

ナツ
興行後の更衣室
熱いさざめき
吐息すら美しく
香る踊り子たち

ナツ
知った人も少なくなり
夕暮れの路地に
いつかの子らの歓声
よみがえる

ナツ
03/01
世間の風に吹かれ
ふきだまる
世間には惑わされたり
背中を押されたり

ナツ

食べる 時には
涙味 美味 無味
わしわし流し込もう
生きるんだよ

ナツ
僕だまぶしい空に
放つホームラン
見上げた瞬間
君はきっとそう思う

ナツ

02/01
ふと現れる1月の精
こごえる夕暮れの風に
日本水仙の
浅い春の香り散らす

ナツ
ひとりを知る
あなたという壁に
映る影も
ぽつりひとりだけ

ナツ
いまはこのまま
ひとり眠れぬ闇をゆく
手足はながく流れのままに
夜風に吹かれる柳になって

ナツ

01/01
待っているこんな雨の夜
カタリ自転車止める音
おかえり
すぐにドアを開けてあげたい

ナツ

物語は続いてゆく
山茶花咲いたことも知らず
それでもか細い一篇の
誰も知らないストーリィとして

ナツ
少し苦しいを
だいぶ苦しいと言うときは
かなりのあなたのSOS
ああややこしい

ナツ








2011

12/01
だいだい色はいっそう濃く
うつむいて
たまのような秋のバラが
やがて散るのを待っている

ナツ

上がるよもっとほらみて
こらこら学校休めるからって
体温計ながめて
そんな小躍りしないの

ナツ
木は黙ってる
切られたり燃やされたり
夏の若葉に包まれたり
虫の鳥の棲みかになっても

ナツ

10/01
タイムという名の喫茶店
ドアを開けると昭和のニオイ
苦いコーヒーとタバコの煙
みんなどうしているかなぁ

ナツ

それだけ、って思えば
目の前がすこし明るくなる
そんなに、って思うと
気持ちが暗くなるものね

ナツ
保健室のドアを開けると
明るくて暖かくて
安心と緊張の入り混じった
消毒液のニオイがした

ナツ
09/01
駆け巡る夏風は
子らの声とともに
草はらから去り
私と夕暮れ置いてきぼり

ナツ
ここよといっても
母の耳には届かない
風の止まった空間
静かな時の国の住人

ナツ

ほっこり湯気ゆらす
夕べの風が
チリンと奏でる
季節を見送る風鈴の唄

ナツ
08/01
じっとしていると
いろんなもの沈殿してくる
外へ出て歩こうよ
ドレッシングのビン振るように

ナツ
どっちにも進めないなら
立ち止まって
少し休んで行ったら
ここは風が涼しいよ

ナツ
かえってきてね
ふうっと風にのって触れて
私にもそれが
わかるようなカンジでね

ナツ

07/01
ひとりでいるよと
頑なだったね
その瞳はいま
清らな童女

ナツ
この時がしずかに
来てしまったの
神様が定めたとき
なのでしょうか

ナツ
ドンとピストルの音
怖くて泣いてたのに
おゆうぎの輪から
ニコニコ手を振るね

ナツ
06/01
原っぱに落し物
揺れるランドセルから
オルガンの音符たち
バイバイまた明日ね

ナツ

ゆっくり動くよほら
辛抱強く見ていてご覧
時計の長いほうの針
入道雲のてっぺんのかたち

ナツ
騒がしい反省会
心の中の小人たちは
ああすればよかったのに
こうしていたらと後悔ばかり

ナツ
05/01
空は大きい手のひらで
誰でもみんなを
包んでくれて
お日様と風を届けてくれる
 
ナツ
すぐそこに夏が来てるから
だから悲しまないでねと
くるくるたくさんの花びらが
道路に散って吹かれてゆく
 
ナツ
ぐるぐるまわる洗濯機の
うずをいつまでもながめていた
外でヒバリが鳴いているけど
まっさらな風の朝だけど

ナツ
04/01
お茶でもいれましょ
母の声がした
お勝手の窓に
彼岸の風が抜けてゆく

ナツ

選ぶのはあなた自身と
背中をおして知らん顔
ホントはね母のココロは
張り裂けそうよ

ナツ

カラフルが風に乗って
春の街にやってきた
遊ぶヒカリ遊ぶこども
揺れるランドセルキラリラリ

ナツ

03/01
素材がきらめく
お昼休みの校庭から
子供たちの声が
風に乗って街に広がる
 
ナツ
笑ってください
いいの いいの
お互いラクに
ありのまま暮らそう
 
ナツ
にばん花は
いちばん花より小さくて
ポツリと咲くよ
春がゆくころ
 
ナツ









2010

12345678910111213141516 12345678910111213141516 12345678910111213141516
12/01 糸は絡まっても
必ずほぐれるの
癇癪おこさず根気強くと
メガネの奥の母の記憶

ナツ

ぽっかぽかの日の
かえりみち
真っ赤な夕日が
追いかけてくる

ナツ

あふれるんだこの想い
はずかしいから
そっぽ向いたら
サザンカの花ほほ笑む

ナツ

11/01 いたるところに
種をまく
どうぞ運よくあちこちが
お花畑になりますように

ナツ
きんいろの糸は
日の出の光
空のほころびや
ほし つき 縫いとる糸

ナツ

洗い流そう
音と風のシャワーで
耳の穴は
頭の中の通気口

ナツ
10/01 颯爽と笑う人
立ちふるまえば
かんきつが香る
あこがれの人

ナツ

どよどよと
湧き上がる
憂鬱の黒い雲
のちゲリラ豪雨

ナツ
水キラキラ
ホースで虹を作ろう
みどりとみずいろの世界で
生きてるよろこび

ナツ

09/01 明日は明日はと
今日も思いえがく
前向きな自分の姿
キラリ颯爽と

ナツ
包まれている
想いはそっと
淡い光のなか
さくらもちみたいに

ナツ

笑えるんだよ
どこにでも咲く
夏草たちのさざめきが
国道の風に舞う

ナツ

08/01
いさぎよく切った髪
ふくれあがる入道雲
青い熱風の吹く街
自転車で駆け抜ける

ナツ
広がるね生きてるよ
むくむくゆっくり育ってる
あの入道雲のてっぺんを
しんぼう強く見ていてごらん

ナツ
風にのるののれるの
ああなんてウレシイ
ムネが踊る足が軽いよ
もう、どこまも飛んでいける!

ナツ
07/01
分岐点の木の下で
しばらく風に吹かれよう
行く人に手をふるように
ゆらゆら草の揺れる道

ナツ
愛し方とか知らなくて
ただただ赤子を抱きしめた
たぶん母が
私にそうしてくれたように

ナツ
縁側の幼子から
しゃぼん玉が生まれる
ぷちんぱちんつぶやくように
いくつもいくつも風にのる

ナツ
06/01
迷いながらもまた迷う
なにがアナタの為なのか
アナタの為になるのなら
それが私の為だから

ナツ

奇跡かぁ、
青い空ま四角に
切り取る窓を
横切る飛行機雲

ナツ

るんびに るんびに
唱えてみる
昔 母に教わった
おまじないの言葉

ナツ 

05/01 道の前を母が行く
古びた箪笥の中へ
道の後ろを娘が来る
背中には5月のまぶしい光

ナツ

強い気持ちでひたすら
歩いてきたはずでした
なのにいつかココロも
背中もすっからかんです

ナツ
ゆっくりと深呼吸を
くりかえして横たわり
今日もシアワセでしたありがとうと
つぶやくのが最近の眠り薬

ナツ
04/01 撫でてゆく春風に
キラキラときめく
おばあちゃんになりたいわ
しわだらけの笑顔でいいの

ナツ
ノックノックノック
お願い振り向いて
足もとの川はとても
ひとりで飛び越えられない

ナツ
わたしだけの
がらくた宝箱の
ふたを開ければ
おしゃべり小人がたくさん

ナツ

03/01 カフェテラスって
つぶやいてみる
春風が
くちびる撫でてゆく

ナツ

祈るようにうつむく
スノードロップ
目を閉じ春のニオイを
風に探してる

ナツ

閉じていたければ
いいよそのままで
ほんのり春を感じたら
枝先でそっとほころんで

ナツ
01/05 ふたり黙ってる
道がふたつに分かれてゆく
日々が静かに川になり
背中の間を流れてゆく

ナツ
まだ遊んでるの
帰りたくない風の子が
お砂場で
ひとりくるくる舞っている

ナツ
探してしまうのかな
いつかその日が来たら
ぬくぬく甘えていよう
今は気づかぬふりして

ナツ





2009


12/01
冬の公園
はらはら葉っぱと
迷子の言葉が
まだ遊んでる

ナツ

どんな時でも
胸の真ん中にいる
太陽のように
お守りのように

ナツ

ずっととなりに12年
大好きだよ
さんかく耳で
茶色くて暖かくて

ナツ

10/01 アルバムの中で
こんこんと眠り続ける
笑い声も日差しの色も
風のニオイも

ナツ
気持ち伝える術などない
ただ夕暮れのベランダで
コトバをちぎっては
風に託すよ

ナツ

多すぎて重すぎて
カゴいっぱいの考え事は
洗濯機の渦のなか
ぐるぐるまわる

ナツ

09/01
罪といっしょに
カタタンカタタン
夜更けの電車で
揺られてゆく

ナツ
沈黙する今夜
背中合わせ
タメイキの川が
ひたひた流れる

ナツ

作品に
時を
閉じ込めたのは
針と糸

ナツ

08/01 君だからこそ
私をここまで育ててくれた
永遠に私は
あなたの子供という作品

ナツ
かずかずのキラメキを
忘れてしまった
ちいさな背中には
悲しみだけが積もる日々

ナツ

だいじょうぶ
みんなここにいるでしょう
おじいちゃんも
空から見てるのに

ナツ

07/01
種から芽を出す
かみさまの魔法
夏空めざして
まっすぐにまっすぐに

ナツ
降りそそげ
天の恵みよ
田畑を満たせと
鳴くカエルたち

ナツ
風に吹かれて
夏草のなか
深呼吸
私もみどり色になる

ナツ

06/01
日々の綴じ糸
するり外れた雨の午後
ラジオからは
早口の天気予報

ナツ
会えてよかった
あなたの言葉が
救ってくれた
会えて ありがとう

ナツ

生まれるオモイ  
ひと針ごとに夏草を
布に茂らす
草色の糸で

ナツ

05/01 ゆきつもどりつ
波にゆられて
夢みる いつか
漂い着く 果て

ナツ
君は君
私はワタシ
も一度そこから
考えようよ

ナツ

なにもかも愛おしい
4月の午後に
揺れる 若葉
散る 花びら

ナツ
04/01
そわそわと桜の枝先
ふるえてる
咲こうかやめよか
ゆきつもどりつ

ナツ

抱きしめてもらった
暖かさ そのままあげる
今度はワタシが
わが子 抱きしめてる

ナツ
そのままだから
よけいツライよ
面影はそのまま
時だけが 流れて

ナツ

03/01
春風の色は
淡いべにいろ
沈丁花のつぼみを
揺らしてきたね

ナツ
眠っていたいと
ぐずるサクラの
蕾をつつくのは
ヒヨドリさん

ナツ
優しく見えるよ
いつもより
なんだかアヤシイ
あなたの微笑み

ナツ
02/01
ちからをこめて
抱きしめると
明けがたの夢は
ほろほろくずれる

ナツ

はたらくあかりに
元気もらう
大寒の夜のコンビニ
かえり道

ナツ

やさしい温度
明けがたの夢の
ぬくもり残る
シーツを泳ぐ

ナツ

01/01 勇気っていう
切符もってない
だから
出発できません

ナツ
てぶくろでは
わからない
てぶくろをとって
触れて

ナツ

あなただけなの
ツブヤキは
ベランダの
風に散る

ナツ






2008
12/01
迷うほどに
心は決まってる
実は言い訳も
こっそり準備済み

ナツ
あなたとともに
ゆきたくて
枝を離れた
はらり 落ち葉は

ナツ

きっとね きっとねって
聞こえる
鳴き交わすヒヨドリの声
寒い朝 

ナツ
11/01 粉がくれる
午後のシアワセ
オーブンから
いいにおいね

ナツ
欲しいけど
やめとく
手にしたらきっと
後悔する

ナツ

あくびひとつ
なみだがぽろり
そおいうことに
しておこう

ナツ

10/01 お元気ですかと
いつものエプロン
ヘルパーさんの
暖かな手

ナツ
ちっぽけなこと
陽だまりの
るり色うろこの
とかげのあくび

ナツ
魔法でね
世界中の 
誰もが魔法を
使えるようになったらね

ナツ
09/01
おぼえてる
一緒に過ごした
陽気なあの夏
アルバム広げ懐かしむ

ナツ
いつのまにか 咲いて
いつのまにか 散ってた
私も そんなふうに
いつのまにか でいい

ナツ

ぷっつり途切れた連絡
高くなった薄みずの空
また電話するよ、って
言ってたよねぇ

ナツ

08/01 名前をつけて
首輪をつけて
もう野良じゃない
家族だよ!

ナツ
夏の思い出 ミョウガ採り
下駄が カランコ
白いくるぶし いくつも
蚊に刺され

ナツ

見つめ合う
車の下のニャンコとワタシ
ただ今 
通訳なしでの交信中

ナツ

07/01
道にチョークで
矢印を書きました
こうすればいつでも
戻ってこれるでしょ

ナツ
走るぐらいなら
お願い 100時間
算数やるから それくらい
マラソン 苦手だった

ナツ

よろこびはどこに
ワタシの ココロの
ちいさな ハコ
あけたら きっと中に

ナツ

06/01
ふんわりつつむ
彼女の歌声は
私の呼吸を
やさしく整える

ナツ
実をつけないよう
花首は早めに落としましょう
来年も花いっぱにしましょう
バラはただ黙って揺れる

ナツ
慣れるといいな早起きに
毎朝3つのお弁当
いままで全部を並べたら
地球一周しちゃうかも!

ナツ
05/01 空の上か 海の底に
私もいつか
行けたらいいな
静かなところに。

ナツ
好きですかそれでも
決して交わらない道なのに
…うん
難儀な人でごめんね

ナツ
夢がいっぱい
金平糖にぎりしめてた
あったかくて小さな掌
おとぎ話の中の約束

ナツ

04/15 影と私とふたりだけ
ブランコゆれる
みんな帰って
残されて

ナツ
ゆびわくるりん
小さなわっかに
みつけたシアワセ
とじこめる

ナツ
ひらくまでもうじきよ と
水仙のつぶやきが
ふくよかに香る
旅立ちの朝

ナツ
03/01 消えるときまで でいいの
そばにいて
朝日に融けゆくわたしを
みとどけて下さい

ナツ
こわかった
どうしておどけたこと 言うの?
あなたの目は
笑っていない
 
ナツ
くるまる みずいろの風に
そよぐ きみどりの 若葉と
まとう ぴんくの さくらを
そんな しあわせな 春のゆめ

ナツ
02/01 羊はわざとのろのろ歩く
何度も後ろ 振り向くのは
夜の淵でさまよう私を
ホントは眠らせたくないんだね

ナツ
いまはもう冬だから
誰にも気付かれない
分厚いコートの奥に包んで
そうっと暖める 恋心

ナツ

となりにいるから
高架下の定食屋
うどんの湯気のむこうで
あなたがぼそりと


01/01 はじまりに戻ればいいの?
苦しくなってから
気がつくの 脱線してたこと
臆病な割には 鈍感な山羊

ナツ
消えていく秋の気配にふるえる
午後3時は別れの時
ひとひらから 我も我もと続く
公園のケヤキよ

ナツ
承知のうえで唇から
コトバ放ったわけでは
なかったの 返す言葉に
あなたがそんなに窮するとは

ナツ