cap verses / そよ日暮らし

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 モヘジさんのシリトリ



2002

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08/27
「またくるね」
静かに告げて去る人の
背を切り取るような
夏の陽の白

モヘジ
ぢりぢりと
迫る孤独を恐れるか
人ごみに立つ人の手に
携帯電話

モヘジ

04/23 こっちだと
言うより先に握る手の
ぬくもりよりも
はかなさの影

モヘジ
雨粒が
落ちてゆくより簡単に
胸に満ちたる
悪意を見てる

モヘジ
04/16 シャツの背に
指一本でつづりゆく
滅びた国の
さよならの文字

モヘジ
できたての
ウソをふたり幾重にも
重ね合わせて
曖昧な雨

モヘジ




以下 2000〜2001

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    味気ない言葉の
意味のない救い
愛だというには
足りない痛み

モヘジ

糸のように見えたのは
16の秋の午後2時07分
数学のノートに引いた
まっすぐな線

モヘジ

いっしょにいたいと
告げる目の色
やや深く
その果てにある永き黄昏

モヘジ

 
     
     
追って来るかな
月の裏まで
闇の迷路を抜けてくるなら
膝を抱えて待つふりをする

モヘジ

おもちゃのバスで
旅に出る
こぐまよ
いいけど耳から綿毛

モヘジ

 
    からまわりする
胸の痛みを取り出して
愛だというから
笑ってしまう

モヘジ

かえろうというな
さよならというな
ただ抱きしめて
「愛」だというな

モヘジ

固まって
身じろぎもせず立ち尽くす
心ひとつに触れられない
愛だというのは幻だから

モヘジ

     
     
携帯を
空のかなたに投げ棄てて
夜を切り裂け
着メロ「月光」

モヘジ

   
     
寒いから
遠くを見てる
たった一つの
淋しさのわけ

モヘジ

   
証拠の品を並べるように
寂しさをすべて取り出して
その形をただ
見比べている

モヘジ

  知りたくてひとり眠る
知りたくてひとり笑う
知りたくてひとりうずくまる
愛だというその寂しい形

モヘジ

スキップらららと口ずさむのは
見渡す限りの平原に
たとえば一人でぽつりと
立っている時

モヘジ

   
    世界で一番遠い場所から
世界で一番小さな声で
だけど世界で一番確かな目をして
愛だというならそうかもしれない

モヘジ

     
旅猫の
瞳が目指す目的地
いざ伝説の
またたびの里

モヘジ

   
     
     
     
どこですかときいてもこたえない
だれですかときいてもこたえない
ただうつむいている
いきばもすじょうもしれないじぶん

モヘジ

   
泣いちゃうよ
夕陽に走るよ
ウソつくよ
それでいいなら散歩にでよう

モヘジ

   
    似た者同士の沈黙の後
かわす視線の優しさに
愛だというのが
嘘だとわかる

モヘジ

     
「ねえ早く虹がでてる」
と呼ぶ声に
ふりむく人の
目のなかに空

モヘジ

   
     
    バタンと閉める
扉のむこう
立ちつくす人の静けさに
愛だというのが嘘だといえない

モヘジ

人 トラ ラッコ コノハズク 
クマゲラ ラマ マントヒヒ 人
月みちる夜 月かける朝
空を見上げる みんなひとり

モヘジ

ひとときの
つかのまの
でもえいえんの
冷たい夜の幸福は青

モヘジ

日々のカケラを
拾い集めて
ほらさよならの
形に似てる愛だという

モヘジ

秘密だよ
この深々とした暗がりの
この寒々とした塊が
愛だというのは秘密だよ

モヘジ

ぶーふーうーのふーの哀しみ
目立たず、みじめで、
無意味で、愚かで、
誰のなかにもふーの哀れみ

モヘジ

  ぶっきらぼうに線を引き
ここからここが悲しみで
ここからここが憎しみで
その境界あたりが愛だという

モヘジ

ベランダで
はだしのままでうたう歌
じゅうまんばりきだてつわんアトム
道行く猫の頭上に放て

モヘジ

   
     
    魔法のじゅもんは「愛」だという
唱えたとたんに
涙の形もそのままに
カラダもココロも石になるのに

モヘジ

みそおでん
幾何学模様を串に刺す
三角形は
たぶんコンニャク

モヘジ

みっつめのウソに目をそらす
喉のあたりに三角の影
いつも最初に
だめになるのは心

モヘジ

 
無防備なことが優しさで
失うことが苦しみで
うつむくことが弱さなら
正しいことだけいつも真実

モヘジ

胸に背につまさきに手に
降るように
ただ降るように
真昼の孤独

モヘジ

「ムーミン」に
おさびし山のあるごとく
安けき日々の
無音の孤独

モヘジ

 
     
「森くんの
社会の教科書
ヒゲだらけ」
3年6組窓際の声

モヘジ

   
     
指の形を憶えておいて。
いつか身動きとれない暗闇で
ただ差しだされた手をつかんでも
それが誰だかわかるように

モヘジ

   
     
     
     
     
冷蔵庫のドアに小さなメモ3枚
「電池」
「いんげん」
「猫の名はヤギ」

モヘジ

   
     
     
A
B
C