cap verses / そよ日暮らし

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 二百字詰さんのシリトリ



2003

12345678910111213141516 12345678910111213141516 12345678910111213141516
05/06 ひかり苔、螢、不知火、螢烏賊
みんな嫌だと思うから
どうせなるなら
狐火になる

二百字詰
つぶつぶの
たくさん入った恋だから
すっきりさわやか
かなり酸っぱい

二百字詰
生意気な顔して
人を困らせて
最後に
可愛いことを言う

二百字詰
04/29 部屋着なら
香水だけと言ったじゃん。
なのにぃ、
ふううん、そうなんだ。

二百字詰

るるるるるると呼び出され、
るんるんなのと言われても、
あのお、
丑三つ時にて御座候へば。

二百字詰
こころうごかすことなんか、
ことばでできるはずなんか、
ぜったいぜったいぜったいに
できっこないさ、なみだひとつぶ。

二百字詰






2002

02/19
あの部屋へ行くには
タンスを開き
右の扉の内側の
鏡の中で兎を待つのさ

二百字詰
証人は神に誓って
真実のみを
否!
りんごに誓え!

二百字詰
そこそこの日々と言うなら
そこそこの愛を附録に付けてくれ
とびきりの一日ならば
もちろん、附録なんか要らない

二百字詰
02/12
帰りたくなる街があり
忘れられない駅がある
大きな窓の家があり
笑みの素敵な人がいる

二百字詰
ノートには真実なんか
書きゃしなかった
だけど12頁5行目の
消したところは嘘じゃない

二百字詰
心にも小さな錘をぶら下げて
100メートルの釣糸に
太平洋の真ん中の
鰆か鱚が釣れるだろうか

二百字詰
02/05
まだ 決めてないあなた
でも 義理堅いあなた
ワイン冷やして待ってます
2月14日の夜は

二百字詰
ページには余白があり
余白には落書きがあり
落書きの傘の片方に
むかしの名前のあなた

二百字詰
午後に来る葉書は
日向ぼこしているように
切手の鳥の眠そうに
文字に優しさあるように

二百字詰
01/08 たぶん、彼女は、
おそらく、彼女は、
きっと、彼女は、
もう、寝たな。

二百字詰
道徳の時間は真面目な顔をして
くるくるくると鉛筆を
右手の指で回せるように
ほらほらこんなに鍛えていたさ

二百字詰
ずるいけど、
嘘もいくつかあるけれど、
困らせたりもしたけれど、
隣にいつもいたいから。

二百字詰




以下 2000〜2001

12345678910111213141516 12345678910111213141516 12345678910111213141516
足し算は小春日の木椅子
掛け算は青空の風花
引き算は闇の波音
割り算は月光の氷湖

二百字詰

いらなくなった鞄の中に
振れば小さな音のして
ナットを捜すボルトのような
そんなあなたの忘れ物

二百字詰

ウソツキはキライ!
って 君は言うけど
それって ウソ
ついてない?

二百字詰

切符が2枚
それぞれ違う行き先の
これがあなたと渡されて
そっちは遠いと思ってしまう

二百字詰

決めたからには あの人の
写真も文も燃やすべく
焚火に先ずは
芋を入れたの

二百字詰

寒いから
髪が乾いてしまうから
電気を消して欲しいから
毛布の中で手招きをする

二百字詰

すきまから
おやすみなさい、と片目だけ
大人の世界の
覗き見をしている

二百字詰

秘密だよ!
って、箱の表に書いてある
小さな箱に
住んでいました

二百字詰

冬は嫌いだ!
って 言ってたくせに
ぐぐっと一所懸命に
降る雪ばかり見ているのだね

二百字詰

ぷくぷくと
ぷくぷくぷくと
仔犬なら 抱かれて
夢を見てばかりいる

二百字詰

平気ではないけど
呑気な顔をして
人の批評を聞いている
またまた煙草に火を点けながら

二百字詰

まばたきをがまんがまん
しているだけで
星が流れてくれたから
明日の朝は、キスでお別れ

二百字詰

街灯のそこだけ
雨の見えている
渚ホテルは
もうなくなったのね

二百字詰

森に雪が降る夜は
きっとココアを飲んでいて
睫毛の雫をこぼしてしまい

私のことを忘れてしまう

二百字詰

もっと好きになれるのならば
最後の一葉も落としてしまい
もっと愛してくれるのならば
吹雪の中に立ってもいるさ

二百字詰

愉快なおじさんと
愉快なおばさんの
こどものこどもは
まだ指をしゃぶっています

二百字詰

理由はふたつ
血液型の相性と
プリンが好きだということと
これでお前が人類ならね

二百字詰

わかる気がするから
海を見ている
わかって欲しいから
雪を見ている

二百字詰