cap verses / そよ日暮らし

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 のっぺら某さんのシリトリ



2002

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09/17 「あのころ」が沈む湖
あなたも持っている
せめて水切りしてやりたい
その「あのころ」には近づけぬから

のっぺら某
夕方肩がガッタガタ
明け方股がガッタガタ
あなたの姿ガッタガタ
尖った鉈もガッタガタ

のっぺら某
09/03           


              
デジタル心臓
移植して
不連続なハート得る
愛の数値も離散的

のっぺら某
たまらないよね
たまはないよね
剃った毛見つめ
股舐める猫

のっぺら某
08/27
またくるね
げんまんすれば
良かったと
短い小指がうつむいた

のっぺら某
ぢりぢりと
ぢりぢりと
迫るものを
頭突きで粉砕

のっぺら某
凛々とした
大気の清冽
早くおいでよ
私を律せよ

のっぺら某
07/25
広がる波紋 
ゆらゆらりゆら
水切り指きり 
記憶呼ぶよに 

のっぺら某
雨宿り
せずに
駆け出す
自棄が好き

のっぺら某
へっちゃらな
顔が得意です
バリアを張っちゃう
弱虫です

のっぺら某
07/09
外国船に乗りたいな
水平線のところから
空にはしごを
かけたいな

のっぺら某
開いてくれた
ことばがぽつり
宝の箱にありました
涼しい風が吹きました

のっぺら某
07/02
夜。神。ヒトトキ。降リテキタ。
スベテノ霧ガ く り あ ーに晴レ 
コノ世ノ真実ガ
見渡セタヤフニ思ワレタノダガ

のっぺら某
神ハキマグレナコトダ
朝目覚ルト森羅万象ハ
アイカワラズニ藪ノ中ナノダ
ソシテ寝床ニハワガカバネ

のっぺら某
ヒトトキハミルフィーユノヨウニ
オビタダシクモ折リ重ナッテ
混沌ノ美ノムクロヲ投ゲ出ス
悲シイ色/明ルイ色/絶望イロ/弾ム色

のっぺら某
夜/神/ヒトトキ/ノ謎ガ
私ヲ泣カセル
解けることのない謎ノ迷路デ
彷徨ウ自分タチガイトオシイ

のっぺら某


06/18
なまえもいらないおもいがひとつ
なづけたりなどしたくない
だまってこっそり
そよがせといて

のっぺら某
ないしょはいいね
それだけで
ぷれみあついた
あのことに

のっぺら某
木に逢うと
畏敬の念に包まれる
動かない声を出さない
永き見守りの偉大さに

のっぺら某
06/04 今から禁艶します
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんな奴は私として失格

のっぺら某
画面であること忘却の客
銀幕の中遊ぶのは霊(たま)
母でもないし娘でもない
たまたまであったたまふたつ

のっぺら某
カギ穴ノムコウ
宝ハ眠ルハズ
開ケズニイラレヌ
人間金庫破リ

のっぺら某
05/21 とまらない
ジェットコースタ
乗りたいと
思う不埒な自分にビンタ

のっぺら某
がんばれがんばれと叫ぶこと
もうなくなった
横目で眺める運動会が
やけに懐かしい

のっぺら某
元の木阿弥
波が来て
砂のお城は平らかに
崩れることも美しい

のっぺら某
05/14
これっきりってことばの
ぷっつり途切れた感じに
ゆさゆさゆさぶって
嘘だと言ってとすがる「ですか?」

のっぺら某
みてる?みてない?
後姿にあっかんべー
みてる?みてない?
心の穴にあっかんべー

のっぺら某
靴がひとりで旅に出た
お供ばかりの人生に
さらばと告げてすたすたと
なのに挫折の出来事に
打ちのめされた彼だった
だって「透明人間!?」と
悲鳴をあげられ気がついた
僕には所詮独り立ち
できぬと知って笑っちゃう
クッククックくつくつくつ

のっぺら某
05/07
すこしわかった
霞んだ月と星々と
焚き火のはぜる
音が知らせて獣はひとり

のっぺら某

違う人になる薬
それがホントのお前だと
木霊は囁く
うるしはくねる 

のっぺら某
告げることばで
すげる花緒の
ぽっくり下駄で
歩んでみますあちらの方へ

のっぺら某
04/23 許してねと言う
こどもの眼が
首をかしげて
尻尾を振る犬

のっぺら某
「こっちこっち」と
針招く 時の行く先
眺めるうちに
「今」と私の鬼ごっこ

のっぺら某
雨の香りを 嗅ぐと言う
その人の背を 見つめてる
乾いた瞳に 大雨の
図を重ねてる 桃色OHP

のっぺら某
04/16 伝わったかな以心伝心
殺意も愛も消毒したけど
まっさらなまま
ここにいるけど

のっぺら某
シャツにアイロン ピンとかけ
折り目の筋は 完璧に
角を立てて 見せました
昨日のケンカの答えです

のっぺら某
できたてだ ほかほかしてる
きもちいい
ほおずりしたら ねむっちゃう
私専用安眠機

のっぺら某
04/09 よろこびはよろこびとして
それをせき止める
ザラリとしたもの
飲み下そう君の詩で

のっぺら某
海へ走ったあの十里に
自転車のタイヤは刻む
17歳のぎざぎざぎざ
破れ心で仰ぐ日本晴れ

のっぺら某
さわってごらんクールだよ
さわってごらんウールだよ
だまし絵みたいな
嘘ほんとフォントの文字

のっぺら某
03/19
いっぱい流れても許してね
望遠鏡逆さに覗くみたいにさ
おまえと私の風景コマ落とし
卒業のあちらと対称に迫るから

のっぺら某
近くになきや遠くにありや
油断ならぬはビビッドな
こひやまひの幻影
寄らば切るゾ涙ながらに

のっぺら某
ぞーりむしですからワタシ
のらくらしますからね
繊毛運動しますからね
さわさわさわさわっ

のっぺら某
03/05
 
美はありますか
甘さを濾紙で取り除き
それでも私の成分に
残ってますか微粒子が

のっぺら某
02/26
なにもない
かのようで
なにかあったからこその
天真爛漫

のっぺら某
気がつかないふり
されるのはイタイ
かといって謝られるのも
もっとシャク
のっぺら某
このごろごろごろ糸もつれ
結び目出来てほどけない
いじいじぶら下げ
でも知らん顔

のっぺら某
01/08 たぶん あたし 濃縮コンク
あなたの還元 待つジュース

うすまるのって いい気分
にじむくらいで 良いお味

のっぺら某
道にケンパの跡
残された小石が呼ぶ
すまして行き過ぎる
心で片足跳びしながら

のっぺら某
ズッキーニな人
かたくって人見知り
挟み揚げにしたい
じゅじゅっと

のっぺら某




以下 2000〜2001

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いらなくなった年齢(とし)が
また増えた
馬齢を重ねる
馬鹿な年増さ

のっぺら某

ウソツキかもめは
ウワキかもね
キツツキ傷つき
ハートをドラミング

のっぺら某

「決めたから。もう逢わない」って
宣言したすぐあとに
心を占拠するなんて…
意外に過激派だね 君って

のっぺら某

寒いから
腹の底から がなります
応援歌ナンバーワンを
合いの手入れて

のっぺら某

隙間好き
来ます?キス
危機済ます?
好き好き魔!

のっぺら某

秘密だよ
流れる星の裏側で
不埒な夢の腐乱死体
星くず集め埋めたこと

のっぺら某

冬が大好きぼたん雪
雪だるま日和の
静かなバースデイ
満ち満ちたらばゆっくり融かします

のっぺら某

森は隅々よく見える
木もありありとよく見える
遠近両用水晶体
お母ちゃんには貰ったんだけど

のっぺら某

愉快は快感
破壊も快感
誤解はいかん!
和解もカ・イ・カ・ン

のっぺら某

理由はふたつ
コンプレックス/自己顕示欲
分析蹴飛ばし
私でいよう

のっぺら某

「わかる気がする どの人も」
緑茶の湯気が そう言った
「そうね」の代わりに
ずずずずず

のっぺら某