cap verses / そよ日暮らし

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        にしきみえりこ
さん のシリトリ

2008

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12/01
迷うほどに
さめてしまう
遠くゆれる


にしきみえりこ
あなたとともに
越える
ちいさな川のうえの
たったひとつの橋

にしきみえりこ
きっと、
さなぎだよ、これ。
と言ったひとの
赤いてぶくろ

にしきみえりこ




以下 2000〜2001

  12345678910111213141516 12345678910111213141516 12345678910111213141516
あなたにあげるはずのものぜんぶ
わたしが食べた
あの夏の太陽と真冬の星
一緒に見たもののすべて

にしきみえりこ

   
     
撃ってもいいよ
一発でころしてくれるなら
うっとりと口をひらいて
わたしが倒れるまで見ていて

にしきみえりこ

   
     
     
からまわりのふたりになったら
遊覧船に乗ろう
ただだまって
行って帰ってくるだけの

にしきみえりこ

影のなかに
あなたがにじむ
遠い場所にいるひとを
影だけがおぼえている

にしきみえりこ

 
傷なんかないよと
笑ってみせたのに
ぺろりん、となめられた

にしきみえりこ

   
     
     
     
探しているのは
あの日の
雨の色の
てぶくろ

にしきみえりこ

   
じーじー蝉が鳴いているよ
あの夏
ふたりが何度も出会いつづけた
あの公園に今も

にしきみえりこ

   
すぱいすたちがねむってる
しろい戸棚のすみっこで
きんいろのすーぷに溶けるのは
すこしおやすみ

にしきみえりこ

ずっとこの窓から見ている
永遠に
降り止まぬ

にしきみえりこ

 
     
そこにいたのは
一匹のくま
オレンジ色の夕焼けを抱いて
あなたが帰るのをずっと待っている

にしきみえりこ

   
たまに笑っているのはだあれ?
私の背中に貼りついている
ぷらすちっくみたいな声を
つかまえたくてくるくるまわる

にしきみえりこ

旅はゆめ
あなたとわたしの
一度きりの
遠い記憶を探しに

にしきみえりこ

 
     
     
でんわがねむっている
白い夜の底で
ことばはもういらないと
あなたは昨日言った

にしきみえりこ

てぶくろが眠っている
深い雪の底で
わざと落としたあの日から

にしきみえりこ

 
吐息が白くて長い夜は
重ねあう手がとまらなくなる
もう少しこのままでいて

にしきみえりこ

   
ないものねだりばかりして
ついにだれもいなくなっちゃった
荒野にひとり立っていると
遠い星がひとつ、見えるよ

にしきみえりこ

   
     
     
     
     
     
火をじっと見ている
あなたの目の中で
ちいさな火が
燃える

にしきみえりこ

   
ふいに聞く
ゆめのあいだにうかぶ声
水底にゆれる青い魚より
かすかなかすかな声だった

にしきみえりこ

ぶらんこにひとりで乗った
月の夜
歩かなくても
遠くに行けるんだね

にしきみえりこ

 
    べるが鳴っている
月がふるえるまで
あの日の抱擁を
あなたが思い出すまで

にしきみえりこ

     
魔法のじゅもんは
あなたの名前
三度唱えて
三度泣く

にしきみえりこ

   
     
むずかしいことは
みずうみにしずめて
何も言わずに見つめた
夜の境界線上で

にしきみえりこ

ムボウビなまま
ずっとここにいる
最後は
あなたのゆめの果てに

にしきみえりこ

 
めりめり音をたててるの
あなたとわたしのまんなかで
やさしく水に揺れていた
あのきんいろのちいさな舟が

にしきみえりこ

   
     
     
     
     
     
流砂の声を聴いたのよ
あの真夜中の一番底で
しずかに眠るわたしの耳に
注ぎ込まれてきたんです

にしきみえりこ

   
     
     
     
悪いことじゃないよ
それ、きっと素敵なことだよ
あのひとから離れてしまったあとで
あのひとをもっと好きになったこと

にしきみえりこ

   
A
B
C