cap verses / そよ日暮らし

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 みなみさんのシリトリ



2002

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09/03 ヒマという
すきまがだいすき
こっそりともぐって目を閉じ
わたしに戻る

みなみ
デジタルな気分の今日は
あおぞらに
ビタミン色の
私を飛ばそう

みなみ
たまらないよね
この香り
やわらかな肌
小さな声で泣いてるアカンボ

みなみ
07/25
広がるのはわたしのこころか
君の住む町へと続く
雨後の
あおぞら

みなみ
雨宿り
赤煉瓦の道庁舎
19の夏の
君とのデート

みなみ
へっちゃらと言えないわたし
君が手を
とって飛ばせてくれた
水べり

みなみ
07/02
夜が私を穏やかにするのを
眺めてる
マニキュアもしてない
冷たい指を握りしめ

みなみ
神というのは何なのだろう
なにを私に
望んでこの世に
生きながらえさせてるの

みなみ
ひとときのやすらぎ
それはあたたかな
やわらかなねこの
背に手を当てること

みなみ
05/14
これっきりに
したくはないと思っても
君のいる町探せずに
もう一年がたちました

みなみ
「みてるからねしっかりね」
人前苦手で緊張している君の背に
手を当てている
がんばれがんばれ

みなみ
靴をことしは買いました
あなたの誕生日プレゼント
これをはいて一年間
ふたりで散歩おさんぽ・ぽぽぽ

みなみ
        
05/07 すこしわかった気がしてた
でもそれは違ってた
雨降り坂道
佇むわたし

みなみ
違う道を走ってみると
あたらしい
風がつぎつぎ
吾に向かい来る

みなみ
告げたくて
言葉を探している私の
胸のなかに
五月の雨降る

みなみ
04/30 贅沢でしょうか
青空が輝いている今日の日を
あなたとふたりきりで
過ごしたいなんて

みなみ
犬いっぴき
昼の歩道をはしはしと
とうざかりゆく
額に傷して

みなみ
土 やわらかく
手よりこぼれる
その冷たさに
心ほどかれ

みなみ
04/23 許してねなんて
言わないで
それじゃわたしが
…わるいみたいじゃない………

みなみ
こっちとあっちをわけるわたし
まえとうしろをわけるわたし
きのうとあしたをわけるわたし
いきるとしぬをわけるわたし

みなみ
雨つぶがしたたりおちるように
わたしのこころしたたって
落ちゆくさきに
君の手のあり

みなみ
04/16 伝わったかなしみのしずく
言葉には
ならないことばが
ほろほろこぼれる

みなみ
シャツのすそ
出ている君の肩越しに
もくもくと広がる
夏の終わりの入道雲

みなみ
できたのにできなくなったと泣いている
着られたのに着られなくなったと泣いている
それはあなたが
成長したから

みなみ
04/09 よろこびを感じる喜び
わたくしの
すみずみにまで
春が染み入る

みなみ
海へゆく
道すがらの景色さえ
覚えておきたい
君といる日々

みなみ
さわってみる
おでこにそっと…まだ熱い
君が
ようやく眠った明け方

みなみ
03/19
いっぱいいるね
どれにしようか
あ、目があったから…
この小さな赤い金魚をください

みなみ
近くまできてみただけなの
偶然に会えたらなんて思ってないよ
でもこの町にあなたは
暮らしているんですね

みなみ
ぞうさんの歌詞
「鼻が長いのはかあさんも」
こぞうはにっこり
安心するね

みなみ
いっぱいの笑顔と一緒に
きみがいる
もう何度目の
春なのだろう

みなみ
ちかくまでよりゆけどなお
きみ遠く
触れているのに
暖かいのに

みなみ
「ぞうきんで顔を拭う君」といて
やさしい時間が
わたしに
流れる

みなみ
03/12
よくみてよ
わたしはここなのあしもとで
踏まれそうなの
小さなたんぽぽ

みなみ
「失礼」とエレベーターに
飛び乗りて
息つくひとの
肩にあわゆき

みなみ
息をするものと
息をしないもの
みちみちあふれて
この水惑星

みなみ
「よくみてよ」
っていわれてもね
おんなじに見えるんだけど
そう、髪、切ったの……

みなみ
「失礼します」
ゆっくり扉を閉めてわれ
ほっと息つく
面接会場

みなみ
息しろくたつ早朝に
どこよりか
オカリナの音が
やわらかに響くよ

みなみ
03/05 耳をすませば
ゆきどけの
水のしたたり
絶えずして春

みなみ
ふざけてばかり
いるきみの
ひとみの底に
私への愛?

みなみ
美のなかに隠された美か
クリムトの
絵のなかふたりは
きんいろのキス

みなみ
耳をすませば
かすかな寝息
おなじ真夜中
ふたりは眠る

みなみ
ふざけてばかり
いるきみの
背中にむかって
好きと呟く

みなみ
美しい彼女をまねて
眉をひく
アン王女には
なれないけれど

みなみ
02/26 なにもない夕暮れがきた
ただひとり
部屋ですごした
寒い冬の日

みなみ
気づかないふりできなくて
振り向けば
かちりときみの
まなざしと会う

みなみ
このごろの
きみは無口で切なくて
わたしはお風呂で
すこうし 泣いた

みなみ
なにもないわたしだから
なにもないあなたがいいの
一緒に
行こうよ

みなみ
気づかない
ふりは上手よ
目と耳をひたと塞いで
走ってゆくの

みなみ
このごろの空は無口で
少しだけ
物足りないの
なにか言ってよ

みなみ
02/19 あの部屋へ
二人が初めて帰った日
初夏の青空
輝いていた

みなみ
証とは重いことだね
不確かなこの世のなかで
ただ一つ
私の気持ち変わらずにあること

みなみ
そこにいる
それだけなのに
眠れるの
あなたがそこにいるだけなのに

みなみ