cap verses  /  そよ日暮らし

サイシンのシリトリ  これまでのシリトリ  投稿者さん別のシリトリ  はじめての方へ



NO.371 2012/01/05 (13人39作) 
待っている 少し苦しい



待っている
あなたの影に走り寄る
心細げな
幼子のように

ふみちゃん
物語
聞かせてくれた母の声
ふと思い出す
眠れない夜

ふみちゃん
少し苦しい
少し悲しい
強がる君の
静かな笑顔

ふみちゃん
待っているのも
待たずにいるのも
涙もぜんぶ
終着駅はちょうどわたしのここら辺

すみれのしずく
物の数え方を
教えてもらおう
まだまだ雪は
降るのだろうし

すみれのしずく

少し苦しい底にたまった
心情が
今日の笑顔の
陽だまり。おだまり。

すみれのしずく
静かな景色のシリトリが多くあつまる今回でした。新年ですが気負いがなくて、こういうのナンカいいなぁと嬉しく思ったことです。
はじまりは、いつものふみちゃん・すみれちゃん。
おふたりの「物」……同じ空気をまとっていました。しんしんと雪降る、しずかな長い夜。ぼそぼそと話してくれるあたたかな声が聞こえる。
ありがとうです。だいじです。ほんとうに。かけがえのないことであります。
本年もどうぞよろしくお願いします。こころから。
待っている時間が
ゆったり
流れるのが
好きかも

湘南坊主
物言いって
こんな漢字で
いいんですかと
ひとりごと

湘南坊主
少し苦しい
言い訳は
後でどっしり
辛くなる

湘南坊主

待っていると
なかなかこない
忘れたころに
ふと現れる

ふらっと
物語なら
閉じてそれきり
開きっぱなしの
ページ震える

ふらっと
少し苦しい
だけど嬉しい
ちくり痛んで
じわり沁み入る

ふらっと

「ふと現れる」 だよ 「ふと現れる」
「少し苦しい」というお題は、新年らしくなく、取り扱いもむずかしいものでしたねぇと思いつつ、このお二つのひろがりが大好きでした。
坊主さんの少し苦しい言い訳は…… だれもが身に覚えのあることですね。
後でどっしり辛くなる の「どっしり」が効いてますねぇ。うなづきづくし(^^ゞ
ふらっとさんの 「ちくり痛んで じわり沁み入る」 いろんな場合がありそうですね。
シチュエーションを思い描いてすこしぼんやりものおもい。
読む側に、こうした時間(あれこれ想像する時間)を、あたえてくれるお二人の手慣れた技量も感じつつ。
本年もあいかわらずのまんねりずむなこの場所ですが、どうぞよろしくおつきあいくださいねー。すっかりたよりにしています〜。




待っている
今明けていく空と雲
よだかがちゃんと
星になるまで

肉野菜
物質の
確固たるその安定の
時の長さに
頬杖をつく

肉野菜

少し苦しい
ただそれだけの
ただそれだけのことと
繰り返し

肉野菜
待っているかもしれない
まだみぬ人がと
目のまえのことに
目を向けない口実として

ぷーくま
物言わぬ
花のように樹のように
小鳥のように
まっすぐでありたい

ぷーくま

少し苦しい胸のうちを
打ちあけることができたなら
堕ちてしまうでしょうから
いまはこのまま

ぷーくま
「いまはこのまま」 だよ
着実に、ご自身だけの独特のシリトリ世界をつくりあげてる肉野菜さん。「物質の確固たるその安定の……」
大好きでした。こころから。
そしてそして ぷーくまさんの 「物言わぬ 花のように樹のように……」 これももちろん大好きでした。
いくつになっても何度でも自分自身に言い聞かせたいことであります。
ありがとうです。ありがとうです。どうぞことしもよろしくお願いしちゃいます。





待っている
あなた?
わたし?
想いだけが 行き違い

ひだま・りー
物を捨て
想いを放し
雲に浮かんで
ひとり

ひだま・りー
少し苦しい
うんうん、ほんのすこし
身動き取れない気持ち
中に3匹上に2匹

ひだま・りー
「ひとり」 だよ 「ひとり」
うん。「物を捨て 想いを放し 雲に浮かんで ひとり」 うんうん。すごくさびしくて、すごくすきです。
こんなふうな(断捨離的な)考え方は昨今のブームともいえるものかもしれませんが、わたしにとってもたどりつきたいところです。
さいごの「ひとり」が、すきだなん。ひとりひとりがつくるひだまり そんなふうな風景がすてきだなぁと思うことです。

昨年、ひだま・りーさんか゛帰って来てくださったこと、シリトリ的に大きな大きな出来事でした。ありがとうです。
待っている
寒空の下で永遠に
忘れられない冷たさと
光り輝く流星群を

スー・

物まねで
一緒に鳴いて見つめ合い
ニャァ〜ニャ〜ニャァ〜は
遊びの合図

スー・
少し苦しい
そんな時
三回くらい
深呼吸する

スー・
待っているこんな雨の夜
カタリ自転車止める音
おかえり
すぐにドアを開けてあげたい

ナツ

物語は続いてゆく
山茶花咲いたことも知らず
それでもか細い一篇の
誰も知らないストーリィとして

ナツ
少し苦しいを
だいぶ苦しいと言うときは
かなりのあなたのSOS
ああややこしい

ナツ
んー。スー・ちゃんの書く流星群。作品中に散らばった 寒空・永遠・忘・冷・光・輝 の字の持つ漢字力?がよく効いて
しんと凍てつく夜空がとても美しいです。ありがとうです。
ナツさんの「待っている」も、大好きでした。「すぐにドアを開けてあげたい」 想いのかたちで終わるところが素敵ですねぇ。
読む側にあれこれ思う余白があって。続きを読みたい気持ちになります。
お二人の内側からかもしだされる詩的な視線、かけがえのないものであります。ありがとうです。今年もどうぞよろしくおつきあいくださいね。

あ。そして。ナツさんの 「少し苦しい ・・・ああややこしい」 これ、何度も読むうちに、なんともいえない可笑し味がわいてきました。
ナツさんのこういうところも好きだなぁ。



待っているねと約束しても
時間になってもみあたらない
涙がポロっと流れた瞬間
後ろから抱いてくれたよ

みらい
物を選ぶ
色 形 様々だけど
自分にもっとも合うものを
想い出を詰め込む小箱選び

みらい
少し苦しい
自分の失敗
来年こそは
本格的にダイエット

みらい
待っている。
だけどもう、この話はおしまいで
もうつづかないって
ほんとは知ってる

ひなた
物語をつくろう。
いつか忘れてしまっても
やわらかく抱きしめるよな大切が
ここに確かにあったって

ひなた

少し苦しい、胸の鼓動を、
深呼吸して整えて、涙こらえて。
それでも流れるぬるくしょっぱい
甘えたしずくがやっぱり今の私で

ひなた
みらいさんの「想い出を詰め込む小箱選び」
ひなたさんの「物語をつくろう。」
どちらもひかえめなかたちだけれど新年の抱負といえるシリトリですね。だいじです。
日々をだいじにとりあつかって、わすれられない一年に、よりよい年に、なるといいです。なりますように。ありがとうです。
お忙しい毎日と思いますが、今年もよろしくおつきあいくださいね。
待っている
待ち続けている
過ぎていた

tan

物欲
食欲
性欲
ただそれだけ

tan
少し苦しい
心地よさ
かなり苦しい
心の重たさ

tan
大晦日、年がかわる少し前に送っていただきました。tanさんの一年をシリトリで締めくくっていただけたような、
そんな気持ちになり、とてもうれしかったのでした。

「待っている 待ち続けている   と   過ぎていた
」 
これ、どんなふうにも読めますが、わたしは哲学的に読ませていただきました。
人生の節目とか 心象的なあれこれをふりかえりつつ読んだことです。 ありがとうです。
本年もここはほそぼそと続いてゆきますので、どうぞよろしくおつきあいくださいね。






待っている人をさがして
きらきらを
まぜて降らせる
雪雲がゆく

soyo
物ごころ
ついたときから知っていた
四字熟語を
書き初めて春

soyo

少し苦しいきせつのあとに
ふさふさと
ふるさとめいて
ふりしきるゆき

soyo