ある秋の日に。 (鏡沼)











ある秋の日に、鏡沼へとむかいました。










鬱蒼とした散策路。




木の葉が舞って、

笹やぶに 落ちる音だけ 響いてきます。




はらりかさ。

かさりこそ。

しーん。











行き交う人も居ないまま

ひとり しとしと 行きました。










倒れた木々をとむらうように

巻きついているツタウルシ。










七色の葉のヤマモミジ。




おなかをすかせた虫たちに

惜しまず頬を食べさせて

森の秩序を守っています。











これは、オオカメノキ。

厚みがあって

しっかりと創られていて

慎重で

立派な葉っぱ。

正統派。












あしもとがやけに明るくて

ふと 見ると

マイヅルソウのたまごたち。

ひかりをぜんぶ呼びあつめてる。










歩きはじめて40分

小さな沼に着きました。

名前のとおりの 鏡沼。




水面に 映しだされる秋色が

ずいぶんしんと淋しくて

すこしぼんやりしてしまうのです。











すこしぼんやりしてしまうのです。










ぼんやりすると

ぼんやりとした時にだけ見える世界が

あらわれて


あちら側まで


誘ってくれる。










この黄緑の この色に

逢うために今日

ここに呼ばれたような気がして

昂ぶりました。




葉っぱの先のアンテナに

ひとさし指を合わせると

葉っぱと交信できました。

ぴぴぴ ぴぴ ぴぴ こんにちわ。












われに返ってふりむくと

広い広い湿原に

今日もひとりぼっちです。




これはずいぶんほんものの

本格的なひとりです。




・・・なんという 気持ちよさ。


湿原をひとりじめ。











深呼吸して帰ります。

来年の春 また来ます。












ひとり のはらの かえり道

おかえり と 声が聞こえてワタスゲに

あれもこれもと話してる

話したいこと こんなにも

あふれるほどに あったこと

自分でも すこしおどろく ことでした





・・・ (^^♪

「ひとりのはらに」 67頁より、転載しました。










最後の写真は、「ひとりのはらに」66ページの写真とおなじ場所なのでした。
長く続く木道のたまたまおなじこの場所で、カメラを構えて、そのことにはじめて気付いたのでした(^^♪
お手元に「ひとりのはらに」をお持ちの方は、併せてご覧くださいね





2004.10.07

cap verses / そよ日暮らし

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