cap verses / そよ日暮らし

 

そよふぉとノート

2003年 09〜10月

 おかえりなさい。 2003.09.05
  九月五日 

  ちょうど秋が

  秋が降りて

  はしゃぐ葉っぱ

  セーブせずに

  思うままに

  秋に抱かれ 

  ひかるわらう

  待ってました

  あいたかった

  秋の葉っぱ

  おかえりなさい




 ネジバナさがし。 2003.09.09
昨日見つけたネジバナは、

まだなにも

なんにもなくて

知らなくて

くるり世界をみわたして

ただすこやかな

こんなネジバナ。
けさ庭に

ふっと見つけたネジバナは、

あれもこれもと受け止めて

ひとり上手にまとまって

こぢんまり咲く こんなネジバナ。
それで ほら

いま目の前にあらわれたのは

思惑を あっちへこっちへ散らばせて

バランスじょうずな こんなネジバナ。

しなやかな。





* * * 

ネジバナが

しなやかな花ということは

「ひとりのはらに」に書いたので

違う言葉を探したけれど

どうしても「しなやか」以外に思いつかないしなやかさ・・・なのでした。





 ほっとして。 2003.09.19






ほっとして 

のどかな 九月十九日。


ほっとするっていうことは

ずいぶん気持ちいいことみたい。


くせになりそう。

集めようかな。

な。





 九月のくま。 2003.09.30


九月のくまは、もうずっと 

九月の中にすんでいました。

来る日も来る日も九月のなかに。


九月のくまのすんでいる九月はとてもここちよく

九月の色も九月の風も九月の空も九月の夜も九月の匂いも包む力も

もうそれは、

すでに完成されていて、

ほんものの、九月然とした九月。

九月のくまは、いつもずいぶん気持ちがよくて、

九月のくまは、ある日ますます気持ちがよくて、

冬の準備もしないまま、

ついうとうととしはじめて、

九月の眠りにつきました。

九月の西陽はぽかぽかと九月のくまをつつみこみ

九月のくまは、さらにますます気持ちがよくて

深い眠りに落ちました。

落ちたところは、みたこともない深い深さの深い森。

九月のくまは、なにひとつ考えもなく

ただきもちよく眠ります。

九月のくまが見る夢は、

美味しい九月の夢でした。

怖い夢は知らなくて

不快な夢も知らなくて

心配なんかもひとつもなくて

九月のくまが見る夢は、

美味しい九月の夢でした。

ある朝のこと、

九月のくまのすむ山に

初冠雪がありました。

九月の雲が、九月のくまに、

九月の終わりを告げました。

「おしまいですよ。」

「おしまいですよ。」

「九月は今日でおわりです。」

九月の雲の大声に、

九月のくまは、ゆっくりまぶたをあけました。

のそのそと、まぶたのひらく音がして

その音に、九月のくまの手足や体も起きだしました。

九月のくまは、ひんやりとした空気をひとくち吸いこむと

九月のくまは、しみじみと

九月のおわりを知りました。

やがて とてもゆっくりとした足どりで

のそのそ歩き出しました。

九月のくまは、その日の昼も

その日の午後も

その日の夜も

のそのそと

歩いて歩いてゆきました。

九月のくまは、道ばたのあらゆる九月に声をかけ

ありがとうって言いながら、歩いて歩いてゆきました。

そしてとうとう明日になった瞬間に

九月のくまは、たちまちに

十月のくまになりました。








あら なんか お話しみたいになりました。

ほんとはクイズなんですよ。

さて この文に九月は何回出てきたでしょう?

なんちゃって(^^♪






 あき。 2003.10.03





あき。




 にじ。 2003.10.09



なんかいも 

虹をみたから

おきあがろぉか


よっこらしょ





もうひとつ

かかるといいかな

ちょうどいいかな

あしたでるかな

そうだといいな






 ゆき。 2003.10.15


けさめがさめて 山をみて

くうきにふれて 肌でかんじて

しめしめしめって

よろこびました



ふさぐにまかせてふさいでいたら

なんとなく こうして過ぎゆくものでした。



よっこらしょなんていらなくて

ころあいを みはからっては雪など降って

なんとなく ゆううつ過ぎゆくものでした。



いつだって 

そうなのでした。

そうでした。



いただきにゆき

しめしめ。




 やぁ。 2003.10.16







ずぅっと ここで

呼んでいたのに

耳をふさいで

なにしてたのさ



でもいいや

まにあったから

これからあそぼ



ほら あれの

あのお話しの

つづき これから きかせてあげる







 みち。 2003.10.21



すみやかに秋をゆく道。

山へ山へと向かう道。

たまにはくまもあるく道。

十歳の娘と歩くお散歩の道。

もうすこし

先にすすむと

まえむきにひらめくものがありそうで

もうすこしもうすこしだけとずんずんと

奥へ奥へと歩いては

ついうっかりと、しゃべりすぎてしまう道。



秋にいよいよとりかこまれて

「えいえんに」

なんてことばを

つかってしまう。

十歳に。



むすめってなんかいいなと思ふこのごろ。彼女と犬とお散歩づくし。









 また道。 2003.10.24







この道は、小さな小さな湖の、まわりをかこむ散策路。

脇道もなく、近道もなく、曲がり角もないゆるやかな道。

歩いても、歩いても、行き止まりにはならなくて、

迷っても、迷っても、もっと歩くとゆくゆくは、もといたここへ戻る道。

秋の落ち葉のふかふかの

ゆったりとしたあんしんな

ここに

かならず戻る道。



*



はるなつあきの、いつの迷子も 今 みんな、

ちょうど戻って来たところ。

秋の落ち葉のふかふかの

ゆったりとしたあんしんな

ここに もぐりこんだとこ。











 はっぱ。 2003.10.30




                      ひかるはっぱ

ねむるはっぱ

わらうはっぱ

あきのはっぱ

いきるはっぱ

うたうはっぱ

えらぶはっぱ

おどるはっぱ

かたるはっぱ

きめるはっぱ

くやむはっぱ

けさのはっぱ

こんなはっぱ

さとすはっぱ

しかるはっぱ

すすむはっぱ

せのびはっぱ

そよぐはっぱ

たびのはっぱ

ちぢむはっぱ

つよいはっぱ

てれるはっぱ

とおいはっぱ

なげくはっぱ

にげるはっぱ

ぬぐうはっぱ

ねむるはっぱ

のびるはっぱ

はしゃぐはっぱ

ひかるはっぱ

ふさぐはっぱ

へこむはっぱ

ほめるはっぱ

まねるはっぱ

みんなはっぱ

むつむはっぱ

めざすはっぱ

もどるはっぱ

やすむはっぱ

ゆるむはっぱ

よわいはっぱ

らくなはっぱ

りっぱはっぱ

るすのはっぱ

れもんいろの

ろまんちっく

わたすはっぱ

わらうはっぱ

ひかるはっぱ

あきのはっぱ





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